★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
週末だけのグローバル投資 -生き残りの処方箋-
第498号 日本・韓国・台湾・香港で新型コロナウイルスの被害が少ない理由「HLAハプロタイプ仮説」「SARS類似抗体仮説」
週1回発行
ワイルドインベスターズ株式会社
関東財務局長(金商)第1173号
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
会員さんからご紹介いただいた記事をベースに、いろいろ考えたことを書きます。
まずは「HLAハプロタイプ仮説」について。
下の記事がよくまとまっていますから、まずはお読みください。
==========================
日本(アジア)の新型コロナ感染者、重症者、死者が欧米よりはるかに少ない理由はHLAと仮定するとドンピシャにはまる
More Access! More Fun永江一石のITマーケティング日記
2020年5月3日
https://www.landerblue.co.jp/50000/?fbclid=IwAR19Z1cWZUME9lCSdbjnSh8MtfOyho9st7CGz2zmYpk8x7YMDoKSrTKPZa8
==========================
おおむね的を射ていると思いますが、ひとつだけ異論を述べます。
永江さんは実効再生産数(R0:アールノートまたはアールゼロ)が下がり始めたのを見て
「日本は3/25、非常事態宣言2週間前にピークアウト!!!」
と書いています。
この表現はご本人が「ピークアウトと書いているのは正確には「増加率が鈍る」」とあらかじめ書いているので、間違いではありません。
しかしこの病気の厄介なところは、治るまでが長く病床を占領し医療崩壊を起こしてしまうことです。
だからたとえ4月7日時点でR0が0.7に下がっていたことがわかっていたとしても、やはり非常事態宣言をすべきだったと思います。
当時はまだ新規感染者数が伸び続けており、天井は見えていませんでした。
実際に感染者が多い都市部では医療機関の病床が足りなくなり、軽症者をホテルなどに移して収容せざる得ませんでした。
関東甲信越や関西では、人工呼吸器やECMO装着の重症患者が3月終わりから4月終わりまで増え続けています。
それが5月に入ってから新規感染者数を治癒者数が上回るようになり、病床も空いてきました。
今週になってその傾向が明らかとなり、ようやく「解除が見えて来たかな」と思えるようになったのです。
確かに地域によってはもっと早く解除しても構わなかったと思いますが、関東・関西・北海道・北陸の一部について解除を考えるのはこれからです。
この記事に当時の人工呼吸器やECMO装着数の推移を残しています
↓ ↓ ↓
--------------------------
2020年05月02日07:30
週末だけのグローバル投資】中国新型コロナウィルスの衝撃 (24)日本の2月超過死者はマイナス。ただし感染初期で参考にならず
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268629.html
--------------------------
最新版はこちら
https://covid19.jsicm.org
さて上の記事では興味深い記事や論文をいくつか引用しています。
そのひとつは、私が執筆等でしばしば(勝手に)お世話になっているオール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)のものでした。
==========================
新型コロナウイルスへの感受性についての研究が少しずつ始まっている(4月17日号 J.Virology オンライン掲載論文)
2020年4月26日
https://aasj.jp/news/watch/12923?fbclid=IwAR0LOj8l8nOjdBMyHiqFipmDKUzjCjmhQQzpzpMb2rhIXAeU-wu-i3sDB2I
--------------------------
この研究では、新型コロナウイルスがコードする10種類のタンパク質からできると想定される48,395種類のペプチドから、HLA-A,B,CそれぞれのMHCと結合して提示される可能性があるペプチドを32,257種類選び出し、現在得られる145種類のHLAそれぞれとの結合性を計算している。
結果は、多種類のペプチドと結合できるHLAから、ほとんどコロナ由来ペプチドとは結合できないHLAまで極めて多様であることが明らかになった。もう少しわかりやすくいうと、HLAによって、ウイルス抗原を捕まえてT細胞を刺激する力が大きく違っていることを示している。もしウイルスペプチドと反応できないHLAタイプを持っていると、T細胞免疫が成立しないので大変だ。
ただ多くの人では6種類のHLA分子が存在しているので、それぞれが互いにカバーしてくれてあまり心配はないと思うが、今後実際の病状とHLAの関係がわかってきた時このデータは重要だ。
一方、少し安心できるデータもある。この研究では新型コロナウイルスから生じるペプチドと、一般的な風邪などで私たちが感染するコロナウイルスから生じるペプチドを比較して、564種類のペプチドが4種類の一般的コロナウイルス由来のペプチドと完全に一致するこをと示している。
この結果は、もし風邪などのコロナ感染ですでにT細胞免疫ができておれば、その一部は新型コロナの抵抗力として働くことを示している。この新型、旧型コロナ共通のペプチドと結合するHLAを計算すると、最も結合力の強いHLAの分布は嬉しいことにアフリカに多い。一方、ほとんどコロナのペプチドに結合できないHLAはヨーロッパ、中国 オーストラリアなどで頻度が高い。
この指標だけで見ると、日本は全て中庸で、これはアメリカも同じだ。(略)
==========================
これを要約すると以下のようになります。
--------------------------
- HLAタイプによって、新型ウイルスに対して反応できるものからほとんど反応できないものがある
- 反応できないとT細胞免疫が成立しないので、大変である。
- もし風邪などのコロナ感染ですでにT細胞免疫ができていれば、その一部は新型コロナの抵抗力として働く
- 新型ウイルスに抵抗力が強そうなHLAはアフリカに多い
- 抵抗力が弱そうなHLAはヨーロッパ、中国 、オーストラリアで頻度が多い。
- 日米は中ぐらい。
欧州や豪州も弱いとなると、白人の中にも比較的弱い人々がいるのかもしれませんね。
被害状況を見ると、ラテン系の人々かなという気がします。
逆にアフリカが強いようなので、そちらはあまり心配ないのかもしれません。
さらに興味が湧いて、人種や国ごとのHLAアリル頻度を調べようとしました。
永江さんも指摘するように、新型コロナの正式名称はSARS-CoV-2でありSARSの亜流です。
私も最初の頃は英語の論文や記事を読んだとき、今回の新型ウイルスを単に「SARS」と表記してあったりしたので混乱しました。
だからSARSに対するHLAハプロタイプの強さを調べたら、何らかのヒントが得られるはずです。
永江さんによると、HLAハプロタイプ
--------------------------
DRB1*12 はSARSに対して弱い
DRB1*13 はSARSに対して強い
--------------------------
--------------------------
HLA-B * 46:01は新型コロナに弱い
HLA-B * 15:03は新型コロナに強い
--------------------------
などの可能性が示唆されています。
私の検索能力の限界を感じつつ調べたところ、HLA-B * 46:01の頻度だけは見つけることができました。
これを見ると中国南部や台湾に新型コロナに弱いHLAを持つ人が多く、2割近く存在します。
次にベトナム13.2%、タイ9.2%など。
日本は5%でずっと低いのですが、なぜか愛知県は7.6%と高めです。
韓国はさらに低く4.4%となっています。
==========================
HLA-B46
https://en.wikipedia.org/wiki/HLA-B46
--------------------------
ref. Population (%)
[5] Buyei (China) 21.6
[5] Miao (China) 18.4
[6] Han (2) (Yunnan, China) 17.9
[6] Thai (in Singapore) 17.2
[6] Southern Chinese (in Taiwan) 17.2
[6] Chinese (in Hong Kong) 16.3
…
[6] Wuhan (China) 13.5 ←武漢
…
[6] Chinese (in Singapore) 13.4
[5] Vietnamese 13.2
…
[6] Shanghai (China) 11.2
…
[6] Thailand 9.2
…
[6] Aichi (Japan) 7.6
…
[6] Beijing (China) 6.8
…
[6] Northern Han (China) 5.7
[6] Japan (3) 5.0
…
[6] South Korea (3) 4.4
…
[6] Okinawa (in Hawaii, USA) 1.0
==========================
HLAアリルのひとつだけ見て判断できるわけでもないのですが、ちょっと不思議な気がします。
上記リストで遺伝子的に弱いはずの台湾や香港が、なぜ今回の新型コロナを完璧に抑え切ったのか?
改めて2002-2003年のSARSを調べたところ、単純なことに気が付きました。
それらの地域は当時SARSで被害を受け、次の流行への準備ができていました。
さらにそのとき、類似免疫を獲得していた可能性が高いのです!
2002-2003年SARS感染マップを見ると、広東省で始まったはずが香港で大きく広がっています(中国政府が隠蔽したと言われています)。
その後は中国に広がりましたが、ほとんど広東省など南部と北京周辺でした。
その後は台湾に広がり、終息を迎えました。
それらの地域では今回の新型コロナに対し、全く同じ抗体でなくても類似のものを獲得している可能性が高いのです。
これを「SARS類似抗体仮説」と呼びましょう。
==========================
SARS 重症急性呼吸器症候群
世界への感染拡大
--------------------------
国・地域別に見た感染者数の推移(2003年3月から7月)。もともと広東省で始まったが、中国政府はそれを隠蔽した疑惑がもたれている。その後は香港で感染者が増え、中国本土・カナダ・台湾での流行がこれに続いた
--------------------------
2002-2003年、中国本土でのSARS被害。ほぼ広東省と北京周辺のみ。

2002-2003年、中国本土でのSARS被害。ほぼ広東省と北京周辺のみ。

==========================
そのように考えると、いろいろ腑に落ちることがあります。
今の新型コロナが猛威を振るった湖北省周辺や、遅れて感染が伝えられている黒竜江省・吉林省など東北部は2002-2003年にSARSの被害をほとんど受けませんでした。
しかし遺伝子的には弱さを抱えているため、その亜種によって17年越しの「第二波」をいま食らっている可能性があります。
欧米も同様に、17年前に被害が少なかった分だけ「いま」被害を食らっているのでしょう。
==========================
中国本土のCOVID19感染マップ
日本経済新聞社
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-china-map/--------------------------
==========================
すると韓国や日本で被害が少ないことも説明できてしまいます。
それらの国は
--------------------------
- もともと遺伝子的に弱くない上に
- 中国・香港・台湾との交流が多く、17年前からSARSやMERSが入り込んで今回の新型コロナに類似した免疫を持っている
と考えられるからです。
韓国も検査やり過ぎで感染爆発を起こしかけたと思ったのに、あっという間に収まってしまいましたもんね。
また、いま広東省やシンガポールで感染している人々は外国から来た労働者が多いという話とも整合的です。もしかするとそれらの地域に来て時間が経っておらず、抗体を持っていなかったのかもしれません。
しかし、どうりで日本は
- 中国から春節旅行者をあれほど受け入れても
- 米英に比べて渡航制限が遅れても
- クルーズ船乗客をすぐ解放しても
- 満員電車に乗り続けても
欧米諸国よりはマシだったはずです。
超過死者がマイナスになりそうだなんて、どう考えても異常ですよ…。
逆に言うとそんな日本でさえ対策しなければおそらく医療崩壊を起こしたであろうということが、今回のウイルスの恐ろしいところなんですけどね。
この説によって油断するつもりは全くありませんが、何に注意すれば良いのか明確になってきた気がします。
(終)
-----------------------------------------
参考のためワイルドインベスターズ投資ブログをご覧ください。
このメルマガに関連したチャートが貼り付けてあります。
会員サイトではさらに盛りだくさんのチャート集があります。
-----------------------------------------
金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標にかかる変動により損失が生ずる恐れがあります。
またデリバティブ取引等の場合は当該取引の額が、預託すべき委託証拠金その他の保証金の額を上回る可能性があります。
弊社運用報酬や会費等の詳細は、会員サイトトップページをご参照ください。
ワイルドインベスターズ会員サイト
http://www.wildinvestors.com/member/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
週末だけのグローバル投資 -生き残りの処方箋-
発行責任者 ワイルドインベスターズ株式会社
バックナンバー http://archive.mag2.com/0001237271/index.html
公式サイト http://www.wildinvestors.com/member/
メールアドレス mailto:wi@wildinvestors.com
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0001237271.html
Copyright (c) Wild Investors Inc. All rights reserved.
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★







