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週末だけのグローバル投資 -生き残りの処方箋-
第600号 ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」
週1回発行
ワイルドインベスターズ株式会社
関東財務局長(金商)第1173号
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【概要】
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- いよいよ規制されそうな「ブルベア投信」
- 厳密に言うと「ブルベア投信」と「レバレッジ」はニュアンスが違う
- ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」
- 価格が同じ率だけ上下すると、理論上「2倍ブル投信」は4倍、「3倍ブル投信」は9倍の速さで資産が減る
- しかしそれを知らないと、個人投資家が資産形成目的で長期保有してしまう
- 専門用語を使わずにまとめると、こうなる
- 専門用語ばかり使ってまとめると、こうなる
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1. いよいよ規制されそうな「ブルベア投信」
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今日のニュースで、人気のレバレッジETFが規制されると報じられました。
ただしどのような規制になるかまではわかっていません。
仮に全面禁止となれば、その分の先物を売らなくてはならず短期的には強烈な売り圧力がかかります。
あるいは「個人投資家には積極的に売らない」程度なら、弱い代わりに長期の売り圧力となるでしょう。
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人気のレバレッジETFに規制発動へ ネット証券に打撃
2021.9.22
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/210922/inv2109220001-n1.html
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先物を組み入れて値動きを増幅したレバレッジ型ETF(上場投資信託)の規制発動が迫っている。金融庁は規制案への意見公募(パブリックコメント)をすでに終え、あとは改正関連法令の公布・施行を待つだけ。レバレッジ型ETFは投資経験豊富な個人に人気だけに、「危ないから規制」の金融庁方針に証券業界は不満げだ。
レバレッジ型ETFは先物を使って日経平均などの値動きを2倍程度に増幅する商品が一般的。先物は株式や投信とは税体系が別だが、ETFは投信の一種なので株式と損益通算できるなど税制面でのメリットも大きい。
ただ、長期保有に伴う目減りが大きく、金融庁が理想とするコツコツ型の資産形成には不向きだ。金融庁はリスク説明強化と並んで信用取引の証拠金率引き上げを打ち出したが、証拠金率を上げれば少ない元手で大もうけするチャンスは減ってしまう。レバレッジ型ETFは証券会社にとって、信用取引で金利収入をもたらす金の卵。取引が低調になれば、インターネット証券の業績に悪影響が出かねない。(略)
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金融庁も注意喚起、レバレッジ型ETFは長期投資には向かないワケ。今後は取り扱いが変わる可能性も?
ETFで投資をする際には商品タイプをチェック
2021/07/15
https://media.moneyforward.com/articles/6493?af=summary
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(略)急激な相場下落時には逆張りを好む個人投資家がリバウンドを狙って日経平均の値動きの2倍変動があるレバレッジ型ETFを積極的に買い入れる場面もあるなど、活用される場面も広がってきています。一方で、特徴としては短期取引には向いているものの、長期投資には向いていないと言われています。これはどういうことでしょうか。
レバレッジ型のETFは対象の指数の値動きのレバレッジ倍の値動きを1日で達成するように運用されています。例えば指数が+1%動いた場合、レバレッジ型ETFは+2%変動します。しかし運用期間が長くなり、特に上下に動く相場ほど、指数の動きに対し、レバレッジETFのパフォーマンスがレバレッジの比率通りの結果とはならなくなってきます。(略)
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2. 厳密に言うと「ブルベア投信」と「レバレッジ」はニュアンスが違う
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実は私、規制がかかるという話を知りませんでした。
どおりで最近、8年以上前に書いた下の記事へのアクセスが増えていたわけです。
この記事は
「ダブル(トリプル)ブル投信はその場で上下に動くだけで損をする」
という話でした。
だからと言ってそれを売ると、毎日儲かっている状態から「突然死」する可能性があると。
上級者でも扱いが難しい商品なので、気を付けてくださいという結論でした。
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2013年05月26日00:24
似て非なるもの。レバレッジ2倍とダブルブル投信の違い(シミュレーション用Excelシート付き)
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51117613.html
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そして細かいことですが、私は「ブルベア投信」を「レバレッジ投信(ETF)」と表現されることに対しても違和感があります。
というのもブルベア投信は価格変動を2倍(あるいは3倍)にする商品設計だからです。
売買金額を2倍(あるいは3倍)にする「レバレッジ投資」とはかなり違うことを、上のブログで解説しました。
ただし動的なレバレッジをかけていることも確かなので、全く違っているとも言えません。
むしろ「ブルベア投信」のほうが、実態を表していないとも言えます。
より正確にこの商品の名前を付けるなら、「価格変動2倍投信(ETF)」とでもすべきだったのでしょう。
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3. ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」
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さて上の記事では「危ないから規制」と書いてありますが、それも少し本筋を外しています。
価格変動が2倍3倍になるので、危ないことは事実です。
しかしそれよりも問題なのは、
「株価指数が上下して元に戻してもブルベア投信が損をしたままになっている」
ということではないでしょうか。
つまり多くの人がこの商品を、「投資損益が2倍3倍になる」と勘違いしているのです。
もしその通りに動くのであれば投資家も覚悟しているので、問題にはならないはず。
ところが
上下動するだけで資産が目減りしてゆくので、長期資産形成には向かない
と判断されたのでしょう。
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4. 価格が同じ率だけ上下すると、理論上「2倍ブル投信」は4倍、「3倍ブル投信」は9倍の速さで資産が減る
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たまたまですが昨日
「同じ絶対値なら、プラスよりもマイナスの方がインパクトが大きい」
「だから株価がX割上げ下げするだけで、Xの2乗%損をする」
ということをブログに書きました。
たとえば10%上昇した後に10%下落すれば1%の損失になる。
20%上昇した後に20%下落すれば4%の損失になる。
30%上昇した後に30%下落すれば9%の損失になる。
これらは上げ下げが逆順になっても同じ、という話です。
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2021年09月21日13:04
【週末だけのグローバル投資】株価が急反発してもなかなか損失が消えない理由(X割上げ下げするとXの2乗%損をする)
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51278332.html
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恐ろしいことに、ブルベア投信はこの値動きを増幅します。
すると2倍ブル投信は理論上
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1日で10%上昇した翌日に10%下落すれば4%の損失になる(2割の2乗)。
1日で20%上昇した翌日に20%下落すれば16%の損失になる(4割の2乗)。
1日で30%上昇した翌日に30%下落すれば36%の損失になる(6割の2乗)。
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ことになります。
同様に3倍ブル投信は理論上
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1日で10%上昇した翌日に10%下落すれば9%の損失になる(3割の2乗)。
1日で20%上昇した翌日に20%下落すれば36%の損失になる(6割の2乗)。
1日で30%上昇した翌日に30%下落すれば81%の損失になる(9割の2乗)。
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ことになります。
現実には2日間でこれほど激しい動きをする可能性は低いので、過度に怖がる必要はありません。
しかし
2倍ブル投信は同じ率上下動するだけで、指数が損をした分の4倍(3倍ブルなら9倍)損をする
のだと覚えておいてください。
これをExcelシミュレーションシートで確認してみましょう。
「シナリオ6 ユーザー定義」の上昇率と下落率に、それぞれ10%と-10%を入力します。
そして左側の「期間2」が10%上昇と10%下落が終わったところなので、横に見て行きます。
まず株価指数は公式通り、1%の下げ(1/10の2乗)で99になっています。
レバレッジ2倍はその収益率を2倍に増幅したものなので、2%の下げで98。
同様にレバレッジ3倍はその収益率を3倍に増幅したものなので、3%の下げで97となります。
しかしその右側の商品A(変動2倍)の自己資金を見ると、4%下がって96となっています。
さらに商品B(変動3倍)の自己資金は、9%下がって91です。
たった一度の乱高下がブル投信にどれぐらいのダメージを与えるか、おわかりでしょうか?
では指数が10%の乱高下を10回繰り返したらどうなるでしょう?
それが一番下の行です。
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まず指数は(1-0.01)の10乗で、100だった資産が90.44まで目減りします(収益率-9.56%)。
レバレッジ2倍はその収益率を2倍に増幅したものなので80.88(収益率-19.12%)。
レバレッジ3倍はその収益率を3倍に増幅したものなので71.31(収益率-28.69%)。
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と、直線的に損が拡大します。
それに対して
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ブル2倍は(1-0.04)の10乗で、100だった資産が66.48まで目減りします(収益率-33.52%)。
ブル3倍は(1-0.09)の10乗で、100だった資産が38.94まで目減りします(収益率-61.06%)。
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ブル投信は指数が下げるつれてポジションも減らしてゆくので、なかなかゼロにはなりません。
しかしシミュレーションとはいえ指数が約1割下げる間にブル2倍は-34%、ブル3倍は-61%と大きく目減りするのは衝撃的ではないでしょうか。
したがって金融庁が規制をかけたり、注意喚起するのも当然と考えます。
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5. しかしそれを知らないと、個人投資家が資産形成目的で長期保有してしまう
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これを見てもわかる通り、ブル投信は少し上下動しただけで激しく資産が目減りします。
「構造としてはオプションの買いと同じである」と8年前のブログには書きました。
しかしだからこそ、長期投資に向いていません。
「長く保有すれば利益が2倍(3倍)になるはずだ」という期待はすぐに裏切られ、「なぜだ!」と叫ぶことになるのです。
えっ!?
「どうしてあなたはブルベア投信に詳しいんですか」って?
実は私も20年近く前に、NASDAQの2倍ブル投信を買ったことがあるのですよ。
しかしNASDAQが大きく下げた後に戻り高値を更新しても、そのブル投信は儲かりませんでした。
それで不思議に思って調べると「この投信は短期投資ならまだ良いが、長期投資として持つべきではない」という結論にたどり着きました。
つまり私も最初から知っていたわけではなく、きっちり痛い目を見てから学んだということです。
この商品設計とオプションを両方とも理解している人なら、最初からこのような難しい投信を買うことはなかったと思います。
私の場合、オプションを理解していても商品設計を知らなかったので買ってしまったわけですね。
20年前に「なぜだ!」と叫んでいたのは私です。
しかしだからこそ今、この商品について詳しく解説できる立場にいるのです。
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6. 専門用語を使わずにまとめると、こうなる
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ブル投信は「価格変動を2倍(3倍)にする商品」であり、「投資損益を2倍(3倍)にする商品」ではない。
それは上昇トレンドにあるときは利益を加速させ、下落トレンドにあるときは損失にブレーキをかける。
しかしそのような都合の良い性質はタダではありえず、単に「上がって下がって戻るだけ」でも損失を食らってしまう。
この性質から同じ率だけ上下したときの指数の損失に対し、2倍ブルとなれば損失は4倍、3倍ブルなら損失は9倍となる。
ベア投信はその真逆の動きとなるが、いったんトレンドが発生すると「突然死」しかねない損失が発生する。
そこに日々の売買コスト等を考慮すれば、資産が目減りしてゆくのが普通である。
したがってブルベア投信は個人の長期資産形成に向いておらず、規制が必要かもしれない。
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7. 専門用語ばかり使ってまとめると、こうなる
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ブル投信はダイナミックヘッジと同じ「複製オプションの買い」である。
なおかつストライクや限月ごとのヘッジがなく、完全なるネイキッドの買い。
したがって恒常的にATMガンマロングとなり、その場で揉み合うだけでタイムディケイと同等のメカニズムにより損失が発生する。
またガンマロングを複製するための売買が毎日発生し、市場の値動きを加速させる「アクセル効果」を持つ。
さらに同じ率だけ上下したときの指数の損失に対し、2倍ブルは損失4倍、3倍ブルなら損失9倍となる。(ガンマはオプション価格を原資産価格で二階偏微分したものなので当然そうなる)
ベア投信はその真逆だが、トレンドが発生するとガンマショートにより「突然死」しかねない損失が発生する。
そこに毎日行われるリバランス時のスリッページやコミッションまで考慮すれば、資産減衰は不可避と考えられる。
したがってブルベア投信は個人の長期資産形成に対して特に不適格であると結論づけられ、規制あるいは注意喚起が必要である。
(終)
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