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週末だけのグローバル投資 -生き残りの処方箋-
第426号 生涯投資家:村上世彰 (1)早すぎた「コーポレート・ガバナンスの伝道師」
週1回発行
ワイルドインベスターズ株式会社
関東財務局長(金商)第1173号
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村上世彰氏の「生涯投資家」がアマゾンプライムで読めたので、感想を書きます。
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村上氏はいわゆる「村上ファンド」を率いて、株主価値の向上を目指したアクティビストです。
アクティビストとは、ある会社の株式を一定以上保有しつつ投資先の会社に対して積極的に提言を行うスタイルの投資家のこと。
「物言う株主」とも呼ばれます。
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私も投資業界が長いので、ある程度のことは「知識として」知っていました。
村上氏の講義を聞いたこともあります。
しかしこちらは「データ分析を武器とするマクロトレーダー」、村上氏は「議決権を武器に企業に変革を迫る革命家」。
必然的に投資銘柄も、収益を得る方法も異なります。
正反対と言って良いほど投資スタイルが違うので、安易な批評は避けて来ました。
それにもかかわらず、こうして記事を書こうと思うほど興味深い本だったのです。
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この本に対する評価は高く、個人投資家や投資業界のプロがこぞって推薦しています。
出版は2017年6月。私は最近あまり本屋をうろつかないので、すっかり出遅れてしまったようです。
アマゾンでは現時点で400近いレビューで5つ星中4.7の高得点をマークしています。
この本を読んで、村上氏が世間で言われているような
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「汚い金儲け主義者」
「乗っ取り屋」
「グリーンメーラー(脅迫者)」
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ではないことを初めて知ったと告白する正直者も多数います。
村上氏が逮捕・起訴された2006年から10年以上経ち、ようやく正当に評価される時代になったのだと感慨を覚えます。
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後出しになって申し訳ないのですが、ファンドマネージャーや個人投資家の集まりで村上氏のことを悪く言う人はいませんでした。
特に中小型株のマネージャーの中には、尊敬あるいは崇拝に近い感情を持っている人々がいました。
村上氏の主張はファイナンスの教科書通りで経済合理性があります。
さらに米国での実例も豊富です。
それを踏まえた上で日本市場において
「自分が信じる『あるべき姿』を追い求める」
という姿勢や情熱に共感した人が多かったのかもしれません。
その手法や発言に対して異論が出ることはあっても、主張や理想がおかしいと言うプロはいませんでした。
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村上氏が逮捕されたとき「えっ、そんな理由で???」と、驚きと戸惑いの声が上がりました。
世間の悪評とは正反対で、業界内ではかなり同情的だったのです。
しかし当時、村上氏を擁護することは危険なことでした。
理由のひとつは、ファイナンス理論や米株市場を知らない大衆を「説得」することは不可能だと思われたからです。
何かを発言したところで、感情的な憎しみの声にかき消されてしまいそうでした。
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また当時はM&Aやファイナンス技術に対し、良いイメージがありませんでした。
アクティビストと利害が反する人々が悪評を振りまき、それに大衆が乗っかった部分がありました。
そして憎まれた投資家が、よくわからない理由で逮捕・起訴されてしまう時代でもありました。
下手に口を開けば自分や所属会社にまでその「不思議な力」が働きそうな気がして、とても村上氏を擁護できる雰囲気ではなかったのです。
私のようにインサイダー情報に触れる機会がほとんどない投資スタイルの人間でも、そう強く感じたのです。
そうであれば個別株、特に中小型株のマネージャーは恐怖に近いプレッシャーを感じていたと思います。
それがようやく、心の中に抱いていた思いを吐き出せる時代になったのでしょう。
この本に寄せられる好意的なレビューには、あのとき声を上げられなかった同業者たちの「贖罪」も含まれているような気がします。
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その背景には、時代のほうが村上氏に追いついてきたということがあります。
2014年8月の「伊藤レポート」では中長期的にROE向上(8%)を目指し、資本コストを上回る価値を創造することが提言されました。
2015年にはコーポレートガバナンス・コードが適用されました。
アベノミクス後も賃金が上昇しないことに対し、政府は日本企業の「内部留保の多さ」を問題視するようになりました。
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このような流れができて、人々はようやく気付いたのです。
ずっと以前からそれらの問題を指摘し、戦い続けた人物がいたことに。
それは世間からボロクソに叩かれ、静かに消えたあの男。
―――村上世彰氏こそ、世に出るのが早すぎた
「コーポレート・ガバナンスの伝道師」
でありました。
(続く)
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