ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

バフェット流

永久保有ポートフォリオ(2) あまりに退屈で耐えられない

理解してしまえばバフェット流の投資は簡単です。


そして一度買ってしまえば、日々の動きを気にすることもありません。


あまりにも簡単で、あまりにも強力です。


しかし同時に、あまりにも退屈なので普通の人は長期間耐えられないのです。



下のチャートは、バフェットのバークシャーハザウェイ(BRK/A)と米国SP500株価指数(SPX)ナスダック総合指数(CCMP)モルガンスタンレー新興国指数(MXEF)を比較した20年のチャートです。


下段はその相対株価。たとえばバークシャーの株価をSP500で割って(BRK/SPX)、バークシャーがそれらの株価指数をどれぐらい上回ったかを示しています。


本来は配当を出さずに再投資を続けるバークシャーと、配当を加えない株価インデックスを比較するのは不公平です。株価インデックスの成績はもっと良いはずなのですが、長期のトータルリターン指数が取れなかったのでご容赦ください。ここでは数字もさることながら、株価や相対株価の方向性に注目していただきたいと思います。


BRKinUSD



上段を見るとこの期間のバークシャーのパフォーマンスは15倍!

ITバブル崩壊とサブプライム危機を乗り越えての数字ですからやはり凄いです。


一方でSP500は3.6倍、ナスダック総合は5.8倍、MSCI新興国指数は5倍とそれぞれ素晴らしいですが、たとえ配当を加えたとしてもバークシャーにはかなわないと思います。


下段はそれらパフォーマンスの比率です。100を基準としていますのでバークシャーはSP500の4.3倍、ナスダック総合の2.6倍、MSCI新興国指数の3倍になっています(前述のように指数に配当を入れたらこれほどの差にはならないと思ってください)。



やはりバフェット流の投資は長期では強いのですが、ここで注目してもらいたいのは相対株価が右肩下がりの時期、つまりインデックスに負けている時間が結構長いということです。

たとえばITバブル真っ盛りだった98年半ばから2000年初頭まで、下段の相対株価はどれも右肩下がりを続けています。つまり1年半以上も大負けしています。


その後2002年の後半まで3年弱の間バフェットの投資が上回って、その負けを取り戻します。しかしまたそこから2007年後半まで実に5年間も新興国に対して負け続けます。SP500やナスダック総合に対してはそれほどでもないですが、やはり右肩下がりが続きます。


そして2007年後半から2008年のリーマンショックまでドカンと勝ち、その後はまた2年以上じりじりと下がっています。


バフェット流はこのように、他のインデックスに負けている時間がけっこう長いのです。特にITバブルや新興国バブルなど他にブチ上がっている資産があるときは、バフェットが好むような銘柄は上昇から取り残されることになります。

 



そこであなたは、こう考えるでしょう。


「じゃあ、他に好調な国やセクターがあるときはそっちに投資しておいて、バブルが崩壊したときにバフェット銘柄にシフトすればいいよな。俺って頭イイ!」



しかし上のチャートの上段と下段をよく見てください。下段にあるバークシャーの相対株価が右肩上がりのときは、基本的に上段の株価インデックスは下がっています。バフェット銘柄は基本的にディフェンシブなので当然です。


つまり相対的にはインデックスに勝っている期間でも、絶対的には下がっていたりするのです。特に金融収縮のときはディフェンシブもかなり売り込まれます。2008年秋のリーマンショックが良い例で、下段の相対株価は急上昇していますが、上段の絶対株価は急落しています。


ディフェンシブ株まで下がってしまうような局面で、いくら強い企業でもわざわざ株を買う人はいません。そんなときは長期債にシフトしたり、景気敏感株やバブル株のショートポジションを取ったほうが儲かるからです。


つまりこの20年でバフェット銘柄が相対的にも絶対的にも儲かったのは、景気敏感株からディフェンシブ株にシフトする相場下落の初期段階で、信用収縮にいたる前のわずかな期間だけだったということです。




バークシャーの   絶対株価      相対株価


景気拡大      じりじり上昇    じりじり下落  ←長期の負けに普通は耐えられない

景気後退初期      上昇        急上昇   ←ウハウハな期間はごく短い

金融収縮         下落         上昇   ←傷が浅くて済むが一緒に下がる




「じゃあ、景気が良いときは景気敏感株やバブル銘柄に投資しておいて、景気に陰りが出てディフェンシブに資金が流れる瞬間にバフェット銘柄にスイッチ。さらに本格的な信用収縮になる直前に株を全部売ってドテンショートしつつ長期債を買えばいいよな。俺って頭イイ!」


確かにバフェットを上回る投資戦略のひとつの可能性は、そういった機動的な資産配分にあると思います。しかしバフェット投資の最もおいしいところだけを抜き取るのはかなり難しいと言えるでしょう。

 



過去20年に限ればバフェット流の投資は「相対的にドカンと勝ち、じりじり負けて吐き出す」ことを繰り返しながら長期的にはインデックスを上回ってきました。このパターンはCTAなどにも見られ、長期的に勝ちを収める投資戦略のひとつの形です。


しかし多くの人は、この「じりじりとした相対的な負け」の期間に耐えられません。


たとえばITバブルのとき3ヶ月で2倍になる銘柄を見てしまったら、普通の人は心穏やかでいられません。新興国指数がバークシャーの株を5年連続で上回ったら、誰だってバフェットが好む退屈な銘柄を持ちたいと思わないでしょう。


また、この戦略は銘柄をほとんど動かす必要はないですし、下手に動かすと逆に危険です。しかし傍目にはサボッているようにしか見えません。そして誰でも知っている銘柄ばかりなので、素人っぽくてカッコ良く見えなかったりします。


仮にあなたがある投信を買って、そのファンドマネージャーが売買もせずインデックスに5年間負け続けたとしたら頭に来て解約するに違いありません。


「こいつは目新しくもないありふれた銘柄ばかり買って、成績が上がらないのにサボりやがって」


それが普通の感覚です。オーナー社長として他人の評価や短期の収益を気にすることなくこの戦略を実行できるバフェットのほうが特殊なのです。




これはまるで稼ぎは良いが退屈な男と結婚するようなものです。あまりにも平和すぎる日常を受け入れ、長期的な視野でそれを喜び感謝できる人は少ないのかもしれません。


  1. こんなに変わり映えのしない銘柄はつまらない。そんなのばかりに集中投資するなんて素人かよ。
  2. ほとんど銘柄を動かさないのは退屈だ。傍目からはまるでサボってるように見える。
  3. 自分ならもっと良い銘柄を探し出し、タイミングをとらえてうまくやれるんじゃないか


このように考えるのは人情ですし、それが人間を成長させ人生をより豊かにします。


しかしこの手法に限って言えば、そのような当たり前の感情が作戦の継続を邪魔してしまうのです。


 

理解するのは難しくない。


始めるのも難しくない。


しかし続けるには信念と根気が必要な戦略と言えるでしょう。




そして日本人が投資をする場合、さらにちょっとしたハードルが加わります。


(続く)


永久保有ポートフォリオ(1) それは「成長する債券」である。

投資の仕事を20年以上続けてさまざまな考えや技法を試してきた結果、改めて強く思うことがあります。


それは

最も投資効率が高い技法のひとつは、
バフェット的な銘柄を半永久的に保有すること。


という結論です。


「何をいまさら」なんて言わないでください。

実はこれよりもリスクが低くて収益率が高い手法はいくつかあると思っています。しかし投資結果と投入した労力・時間との比率では、バフェットの方法はダントツで効率が良いというのが率直な感想です。



バフェット流投資の基本的な考え方を、私はこう理解しています。

  1. 参入障壁が高く、なくてはならない業界の消費者独占型企業を保有する。そういった企業はインフレのときも値上げ可能で、高い利益率を保てるから。

  2. 実は値上がり志向ではなく利回り志向である。

実際にバフェットについて書かれた本を読んで保有銘柄を確認すると、思考の根底に「利回り比較」があることがわかります。だからごくまれに国債や優先株を保有することがあるのです。

しかし基本的には株、それもインフレのときでも利益率を確保でき、時間とともに配当と元本が雪だるま式に増えてゆく成長する債券」のような株式を好んでいることがわかります。


たとえば10年国債の金利が5%だったとしましょう。これは10年経っても名目元本は変わりません。100万円の投資なら10年後に償還されても100万円のままです。そのときに10年国債金利がまた5%なら、次の10年の名目収益率も5%のままで投資を継続することになります。

しかしバフェット流は、元本が成長することを期待しているのです。たとえ配当利回りが3%でずっと変わらないとしても、10年後に株価が3倍に成長していれば最初の投資金額に対して配当利回りは9%になります。同じロジックで20年後には27%となります。

これが「成長する債券」のイメージです。


そんなうまく行くのか? と思うでしょう。

10年で3倍というのは年率にすると11.6%ぐらいの成長になります。3%の配当を出しつつそれを続けることは大変なのですが、業種や国によってそれが可能な場合があるのです。

そしてバフェットはそれ以上の収益を継続的に実現できる企業にしか投資しておらず、だからこそ銘柄選択に徹底的にこだわっているわけです。

私の感覚だとそんな会社は世界にせいぜい30社ぐらいしかありません
この手法は銘柄選択の幅が狭いので、結果として個別銘柄を半永久的に保有することが多くなります


したがって「バフェットは長期投資で財を成した」と言うのはちょっと正確ではないかもしれません。

なぜなら「個別銘柄の長期保有」と「優れた長期リターン」はともにバフェット流投資の「結果」に過ぎないからです。


バフェット流だと結果として同じ銘柄を長期保有せざるをえませんし、
また長期間の結果を配当込みで評価しないとその威力がわかりません。

しかしそれらに因果関係があると誤解し、
「長期投資をすればどんな手法でも儲かる」と考える人もいるようです。

単純なバイアンドホールドでも人口が増えているとか、通貨価値がどんどん下がってしまう場合には長期保有で名目的には儲かりますが、そうでない場合に儲かるとは限りません。

しかしそれは日本のように人口減やデフレに苦しまないとわからないかもしれません

そのあたりが、長期投資に対する誤解を生んでいる理由なのでしょう。



しかしこの手法、よほど胆の据わった賢い人」か「よほど単純に割り切れる人」でないと続けるのが難しいということもよくわかります。


(次回に続く)

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