ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

マニアック投資用語

【週末だけのグローバル投資】ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」



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週末だけのグローバル投資  -生き残りの処方箋- 

第600号 ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」




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【概要】
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  1. いよいよ規制されそうな「ブルベア投信」
  2.  厳密に言うと「ブルベア投信」と「レバレッジ」はニュアンスが違う
  3.  ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」
  4.  価格が同じ率だけ上下すると、理論上「2倍ブル投信」は4倍、「3倍ブル投信」は9倍の速さで資産が減る
  5.  しかしそれを知らないと、個人投資家が資産形成目的で長期保有してしまう
  6.  専門用語を使わずにまとめると、こうなる
  7.  専門用語ばかり使ってまとめると、こうなる
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1. いよいよ規制されそうな「ブルベア投信」
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今日のニュースで、人気のレバレッジETFが規制されると報じられました。

ただしどのような規制になるかまではわかっていません。

仮に全面禁止となれば、その分の先物を売らなくてはならず短期的には強烈な売り圧力がかかります。

あるいは「個人投資家には積極的に売らない」程度なら、弱い代わりに長期の売り圧力となるでしょう。

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人気のレバレッジETFに規制発動へ ネット証券に打撃
2021.9.22
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/210922/inv2109220001-n1.html

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 先物を組み入れて値動きを増幅したレバレッジ型ETF(上場投資信託)の規制発動が迫っている。金融庁は規制案への意見公募(パブリックコメント)をすでに終え、あとは改正関連法令の公布・施行を待つだけ。レバレッジ型ETFは投資経験豊富な個人に人気だけに、「危ないから規制」の金融庁方針に証券業界は不満げだ。

 レバレッジ型ETFは先物を使って日経平均などの値動きを2倍程度に増幅する商品が一般的。先物は株式や投信とは税体系が別だが、ETFは投信の一種なので株式と損益通算できるなど税制面でのメリットも大きい。

 ただ、長期保有に伴う目減りが大きく、金融庁が理想とするコツコツ型の資産形成には不向きだ。金融庁はリスク説明強化と並んで信用取引の証拠金率引き上げを打ち出したが、証拠金率を上げれば少ない元手で大もうけするチャンスは減ってしまう。レバレッジ型ETFは証券会社にとって、信用取引で金利収入をもたらす金の卵。取引が低調になれば、インターネット証券の業績に悪影響が出かねない。(略)
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金融庁も注意喚起、レバレッジ型ETFは長期投資には向かないワケ。今後は取り扱いが変わる可能性も?
ETFで投資をする際には商品タイプをチェック
2021/07/15
https://media.moneyforward.com/articles/6493?af=summary
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(略)急激な相場下落時には逆張りを好む個人投資家がリバウンドを狙って日経平均の値動きの2倍変動があるレバレッジ型ETFを積極的に買い入れる場面もあるなど、活用される場面も広がってきています。一方で、特徴としては短期取引には向いているものの、長期投資には向いていないと言われています。これはどういうことでしょうか。

レバレッジ型のETFは対象の指数の値動きのレバレッジ倍の値動きを1日で達成するように運用されています。例えば指数が+1%動いた場合、レバレッジ型ETFは+2%変動します。しかし運用期間が長くなり、特に上下に動く相場ほど、指数の動きに対し、レバレッジETFのパフォーマンスがレバレッジの比率通りの結果とはならなくなってきます。(略)
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2. 厳密に言うと「ブルベア投信」と「レバレッジ」はニュアンスが違う
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実は私、規制がかかるという話を知りませんでした。

どおりで最近、8年以上前に書いた下の記事へのアクセスが増えていたわけです。

この記事は

「ダブル(トリプル)ブル投信はその場で上下に動くだけで損をする」

という話でした。

だからと言ってそれを売ると、毎日儲かっている状態から「突然死」する可能性があると。

上級者でも扱いが難しい商品なので、気を付けてくださいという結論でした。

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2013年05月26日00:24
似て非なるもの。レバレッジ2倍とダブルブル投信の違い(シミュレーション用Excelシート付き)
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51117613.html
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そして細かいことですが、私は「ブルベア投信」を「レバレッジ投信(ETF)」と表現されることに対しても違和感があります。

というのもブルベア投信は価格変動を2倍(あるいは3倍)にする商品設計だからです。

売買金額を2倍(あるいは3倍)にする「レバレッジ投資」とはかなり違うことを、上のブログで解説しました。

ただし動的なレバレッジをかけていることも確かなので、全く違っているとも言えません。

むしろ「ブルベア投信」のほうが、実態を表していないとも言えます。

より正確にこの商品の名前を付けるなら、「価格変動2倍投信(ETF)」とでもすべきだったのでしょう。





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3. ブルベア(レバレッジ)投信が規制されるのは「危険だから」よりも「揉み合うだけで減ってゆくから」
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さて上の記事では「危ないから規制」と書いてありますが、それも少し本筋を外しています。

価格変動が2倍3倍になるので、危ないことは事実です。

しかしそれよりも問題なのは、

「株価指数が上下して元に戻してもブルベア投信が損をしたままになっている」

ということではないでしょうか。

つまり多くの人がこの商品を、「投資損益が2倍3倍になる」と勘違いしているのです。

もしその通りに動くのであれば投資家も覚悟しているので、問題にはならないはず。

ところが

上下動するだけで資産が目減りしてゆくので、長期資産形成には向かない

と判断されたのでしょう。





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4. 価格が同じ率だけ上下すると、理論上「2倍ブル投信」は4倍、「3倍ブル投信」は9倍の速さで資産が減る
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たまたまですが昨日

「同じ絶対値なら、プラスよりもマイナスの方がインパクトが大きい」

「だから株価がX割上げ下げするだけで、Xの2乗%損をする」

ということをブログに書きました。

たとえば10%上昇した後に10%下落すれば1%の損失になる。

20%上昇した後に20%下落すれば4%の損失になる。

30%上昇した後に30%下落すれば9%の損失になる。

これらは上げ下げが逆順になっても同じ、という話です。

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 2021年09月21日13:04
【週末だけのグローバル投資】株価が急反発してもなかなか損失が消えない理由(X割上げ下げするとXの2乗%損をする)
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51278332.html
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恐ろしいことに、ブルベア投信はこの値動きを増幅します。

すると2倍ブル投信は理論上

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1日で10%上昇した翌日に10%下落すれば4%の損失になる(2割の2乗)。

1日で20%上昇した翌日に20%下落すれば16%の損失になる(4割の2乗)。

1日で30%上昇した翌日に30%下落すれば36%の損失になる(6割の2乗)。
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ことになります。

同様に3倍ブル投信は理論上

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1日で10%上昇した翌日に10%下落すれば9%の損失になる(3割の2乗)。

1日で20%上昇した翌日に20%下落すれば36%の損失になる(6割の2乗)。

1日で30%上昇した翌日に30%下落すれば81%の損失になる(9割の2乗)。
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ことになります。

現実には2日間でこれほど激しい動きをする可能性は低いので、過度に怖がる必要はありません。

しかし

2倍ブル投信は同じ率上下動するだけで、指数が損をした分の4倍(3倍ブルなら9倍)損をする

のだと覚えておいてください。



これをExcelシミュレーションシートで確認してみましょう。

「シナリオ6 ユーザー定義」の上昇率と下落率に、それぞれ10%と-10%を入力します。

BullBearETF2






















BullBearETF1


















そして左側の「期間2」が10%上昇と10%下落が終わったところなので、横に見て行きます。

まず株価指数は公式通り、1%の下げ(1/10の2乗)で99になっています。

レバレッジ2倍はその収益率を2倍に増幅したものなので、2%の下げで98

同様にレバレッジ3倍はその収益率を3倍に増幅したものなので、3%の下げで97となります。



しかしその右側の商品A(変動2倍)の自己資金を見ると、4%下がって96となっています。

さらに商品B(変動3倍)の自己資金は、9%下がって91です。

たった一度の乱高下がブル投信にどれぐらいのダメージを与えるか、おわかりでしょうか?



では指数が10%の乱高下を10回繰り返したらどうなるでしょう?

それが一番下の行です。

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まず指数は(1-0.01)の10乗で、100だった資産が90.44まで目減りします(収益率-9.56%)。

レバレッジ2倍はその収益率を2倍に増幅したものなので80.88(収益率-19.12%)。

レバレッジ3倍はその収益率を3倍に増幅したものなので71.31(収益率-28.69%)。
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と、直線的に損が拡大します。

それに対して

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ブル2倍は(1-0.04)の10乗で、100だった資産が66.48まで目減りします(収益率-33.52%)。

ブル3倍は(1-0.09)の10乗で、100だった資産が38.94まで目減りします(収益率-61.06%)。
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ブル投信は指数が下げるつれてポジションも減らしてゆくので、なかなかゼロにはなりません。

しかしシミュレーションとはいえ指数が約1割下げる間にブル2倍は-34%、ブル3倍は-61%と大きく目減りするのは衝撃的ではないでしょうか。

したがって金融庁が規制をかけたり、注意喚起するのも当然と考えます。





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5. しかしそれを知らないと、個人投資家が資産形成目的で長期保有してしまう
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これを見てもわかる通り、ブル投信は少し上下動しただけで激しく資産が目減りします。

「構造としてはオプションの買いと同じである」と8年前のブログには書きました。

しかしだからこそ、長期投資に向いていません。

「長く保有すれば利益が2倍(3倍)になるはずだ」という期待はすぐに裏切られ、「なぜだ!」と叫ぶことになるのです。



えっ!?

「どうしてあなたはブルベア投信に詳しいんですか」って?

実は私も20年近く前に、NASDAQの2倍ブル投信を買ったことがあるのですよ。

しかしNASDAQが大きく下げた後に戻り高値を更新しても、そのブル投信は儲かりませんでした。

それで不思議に思って調べると「この投信は短期投資ならまだ良いが、長期投資として持つべきではない」という結論にたどり着きました。

つまり私も最初から知っていたわけではなく、きっちり痛い目を見てから学んだということです。

この商品設計とオプションを両方とも理解している人なら、最初からこのような難しい投信を買うことはなかったと思います。

私の場合、オプションを理解していても商品設計を知らなかったので買ってしまったわけですね。

20年前に「なぜだ!」と叫んでいたのは私です。

しかしだからこそ今、この商品について詳しく解説できる立場にいるのです。





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6. 専門用語を使わずにまとめると、こうなる
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ブル投信は「価格変動を2倍(3倍)にする商品」であり、「投資損益を2倍(3倍)にする商品」ではない。

それは上昇トレンドにあるときは利益を加速させ、下落トレンドにあるときは損失にブレーキをかける。

しかしそのような都合の良い性質はタダではありえず、単に「上がって下がって戻るだけ」でも損失を食らってしまう。

この性質から同じ率だけ上下したときの指数の損失に対し、2倍ブルとなれば損失は4倍、3倍ブルなら損失は9倍となる。

ベア投信はその真逆の動きとなるが、いったんトレンドが発生すると「突然死」しかねない損失が発生する。

そこに日々の売買コスト等を考慮すれば、資産が目減りしてゆくのが普通である。

したがってブルベア投信は個人の長期資産形成に向いておらず、規制が必要かもしれない。




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7. 専門用語ばかり使ってまとめると、こうなる
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ブル投信はダイナミックヘッジと同じ「複製オプションの買い」である。

なおかつストライクや限月ごとのヘッジがなく、完全なるネイキッドの買い。

したがって恒常的にATMガンマロングとなり、その場で揉み合うだけでタイムディケイと同等のメカニズムにより損失が発生する。

またガンマロングを複製するための売買が毎日発生し、市場の値動きを加速させる「アクセル効果」を持つ。

さらに同じ率だけ上下したときの指数の損失に対し、2倍ブルは損失4倍、3倍ブルなら損失9倍となる。(ガンマはオプション価格を原資産価格で二階偏微分したものなので当然そうなる)

ベア投信はその真逆だが、トレンドが発生するとガンマショートにより「突然死」しかねない損失が発生する。

そこに毎日行われるリバランス時のスリッページやコミッションまで考慮すれば、資産減衰は不可避と考えられる。

したがってブルベア投信は個人の長期資産形成に対して特に不適格であると結論づけられ、規制あるいは注意喚起が必要である。




(終)



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【週末だけのグローバル投資】株価が急反発してもなかなか損失が消えない理由(X割上げ下げするとXの2乗%損をする)



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第599号 株価が急反発してもなかなか損失が消えない理由(X割上げ下げするとXの2乗%損をする)




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8年以上前に書いた下の記事ですが、最近になってまた多くの人々に読んでもらっているようです。

これは「ダブル(トリプル)ブル投信はその場で上下に動くするだけで損をする」という話でした。

だからと言ってそれを売ると、毎日儲かっている状態から「突然死」する可能性があると。

上級者でも扱いが難しい商品なので、気を付けてくださいという結論でした。

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2013年05月26日00:24
似て非なるもの。レバレッジ2倍とダブルブル投信の違い(シミュレーション用Excelシート付き)
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これに関連して、以前から追加したかったことを書きます。

それは

「同じ絶対値なら、プラスよりもマイナスの方がインパクトが大きい」

ということです。

このことは上の記事にも「10%の上昇を消せるのは9.1%の下落」のように、当たり前のこととして書かれています。

また以下の拙著にもごく軽く触れられています。

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たとえばマイナス20%の損失を食らったら、プラス20%の上昇では足りません。

なぜなら100のものが80に減ってしまったあと、そこから20%上昇しても96にしかならず4%の損が残ったままです。

同様にマイナス50%のあとプラス50%で取り返したように思えても、100→50→75と推移して25%の損失が残ります。

値動きが荒くなれば荒くなるほど、

だいぶ取り返したはずなのにマイナスが減ってない


という感覚を抱くことでしょう。

ダブルブルあるいはトリプルブルの投信を買っていた場合、その動きはさらに増幅されることになります。

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これらの関係を表にしてみましょう。

ご覧のように、上昇と下落が同じ率でもその振れ幅(絶対値)が大きくなるほどマイナスが拡大します。

上昇と下落、どちらが先に来ても結果は変わりません。



上昇 下落 上昇後価格 下落後価格 収益率
0% 0% 100 100 0%
10% -10% 110 99 -1%
20% -20% 120 96 -4%
30% -30% 130 91 -9%
40% -40% 140 84 -16%
50% -50% 150 75 -25%
60% -60% 160 64 -36%
70% -70% 170 51 -49%
80% -80% 180 36 -64%
90% -90% 190 19 -81%

**************************

しかし上の表、実は覚える必要はありません。

というのも簡単な公式によって暗算できてしまうからです。

こんな式、覚えているでしょうか。

(x+y)(x-y) = xの2乗 - yの2乗

念のため確認すると分配法則を使って

=x(x-y) +y(x-y)
=xx-xy+xy-yy
=xx-yy

と、内側がきれいに相殺されしまうあの公式です。

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これは今ならば小学生ですら知っている公式かもしれません。

たとえば半径17.5cmの円から半径2.5cmの円をくりぬいた面積を求めるとき

(17.5)の2乗×3.14 - (2.5)の2乗×3.14

=【(17.5)の2乗- (2.5)の2乗】×3.14

=【306.25- 6.25】×3.14

=300×3.14

とやってしまうと、小数点の2乗を2度計算することになって面倒です。

それより【】の部分で上の公式を逆方向に使って

(17.5)の2乗 - (2.5)の2乗
=(17.5+2.5)(17.5-2.5)
=20×15
=300

と計算してそれに3.14をかけた方がずっと楽なのです。

**************************

これを思い出してから上の表を見ると、ちゃんとその通りになっていることがわかります。

「1割下げてから1割戻すと、1割の2乗で1%の損」

「2割下げてから2割戻すと、2割の2乗で4%の損」

「3割下げてから3割戻すと、3割の2乗で9%の損」
 ・
 ・
 ・
「9割下げてから9割戻すと、9割の二乗で81%の損」

これを一般化すると

価格がX割上げ下げするとXの2乗%だけ損をする

ということが言えます。

ただし「割」から「%パーセント」と、桁がひとつ下がっていることにご注意ください。

まあ「割」が1/10なのですから、それを2乗すれば1/100となってパーセンテージになるのは当然ですが。


(1+上昇割)(1-下落割)-1
= (1+x/10)(1-x/10)-1 
= 1-x2乗/100-1 
= -x2乗/100・・・下落率(%)



**************************
**************************

ところでファンド(投資戦略)を評価する基準のひとつに「ドローダウン」というのものあります。

これはそのファンドが過去でどれぐらい下落したことがあるか、というものです。

一般的にはドローダウンが大きなものほどそのファンド(投資戦略)は不安定であり、回復が難しくなる可能性があります。

5割下げたファンドは倍にならないと戻りませんし、9割下げたら10倍にならないと戻りません。

だからベテランやプロになるほど、ドローダウンの数字を気にするのです。

もちろん小さなドローダウンが今後も続く保証はどこにもなく、コツコツ稼いでドカンと即死するファンドや投資戦略もあります。

**************************

ドローダウンの恐ろしさは、上昇相場が続くほど忘れられがちになります。

激しい値動きが始まっても「そのうち取り返せる」と考えてしまします。

しかし乱高下を繰り返すうちに損が積み上げって行き、あるとき投げ売りが始まるのがバブル崩壊のパターンです。

これらは当たり前の知識なのですが、

「当たり前過ぎて誰も教えてくれない」

状態になってしまっているかもしれません。

それをあえて記録することも大事だと考えます。




(終)



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サイゼリヤのアマゾンポイントでほぼタダ酒が無限に飲める?(与信取引・無担保貸し付け)


サイゼリヤ(7581)さん…。

逃げて…。

投資家が来るよ…。

投資家がタダ酒を呑みに来るよっ!!!


-----------------


投資家さんはサイゼリヤ(7581)が大好きです。

これほどコストパフォーマンスに優れた飲食店は、あまりないからです。

数年前にも投資家さんたちとの会合で、サイゼリヤでどれだけお得な注文したかをみんなで競い合いました。

しかし世間的にそれは「ケチ」「せこい」「普通しないよね」と言われる行為だったようで、あえてここで書くことはしません。



そして今日、こんなことを知らせてくれる人がいました。

サイゼリヤ ホーム  > 飲食代金のお釣りをAmazonギフト券で受け取ろう

基本ルールは

  • お釣りの代わりに2%上乗せされたアマゾンポイントを受け取ることができる
  • いまのところ対象は6店舗に限られる

ただし

「飲食代金合計金額:200円(税込み)以上 且つ、お釣金額:9,800円以下のお客様が対象」

ですから、そこが限界となります。

「しかしこのルールだと、飲食代が安ければ安いほど得になるよなあ。」

そんなこと言われると例によって職業病が出て、計算してしまうのです。

以下の表はすべて1万円札を出しておつりをもらったことを前提としています。



飲食代 おつり ポイント 割引率 実質飲食代





200 9800 196 98% 4
300 9700 194 65% 106
400 9600 192 48% 208
500 9500 190 38% 310
1000 9000 180 18% 820
2000 8000 160 8% 1840
3000 7000 140 5% 2860
4000 6000 120 3% 3880



なんと、200円分の注文をすれば実質4円で飲食できることになります。

ワイングラス2杯呑んだとして、実質1杯2円!

これを繰り返せは、実質的に十円玉数枚でへべれけに酔っぱらうことができます。



「いくら何でもそれだけで帰る奴はおらんやろ・・・」

と思ったあなた、投資家の性格をわかっていません。

普通の人ならばせいぜい、全員まとめて払っていた会計を別にしてそれぞれポイントを増やすのが関の山だと思います。

500円のランチで1万円札を出し、9690円分のポイントをお釣りとしてもらいます。

そして「実質310円で済んだ」と喜ぶだけでしょう。



しかし投資家は、何事にも徹底しています。

彼らにとって「ケチ」「せこい」「常識外れ」「普通しないよね」という罵声は褒め言葉です。
 
ドM野郎が「変態!」「不潔!」「あっちへ行け!」と罵られて喜ぶのと同じ「ご褒美」なのです。

彼らは何事もなかったように再入店し、グラスワインを2杯だけ飲んで会計することを続けるでしょう。

当然そのために、1万円札を20枚以上は用意しているはずです。



彼らの探求心はそこで留まりません。

「おそらく日本の最大紙幣が1万円だから、還元率が2%(200円)になってんだよな」

「仮に米国に支店があって同じルールが適用されているなら、1万ドル紙幣(見たことは無いが存在するらしい)で払えば200ドル(約2万2千円)のポイントが稼げるはず」

と考えて、「米国支店の存在」や「高額ドル紙幣の流通状況」を確認するはずです。

そして日本にしか店舗がないと知って、ガッカリしていることでしょう。

私ですらそうなのですから、筋金入りの投資家はみなそう考えるはず。

このように投資家には

自分で考えた戦略がどこまで通用するのか、極限まで実践して試したがる性質

が備わっているのです。



これはおそらく、アマゾンポイントのプロモーションでしょう。

投資家たちが1杯2円でワインを飲んだところで、サイゼリヤさんの懐は痛まないと思います。

お釣りの代わりにアマゾンポイントを受け取ったということは、お客さんはその金額だけアマゾンさんに無担保の貸し付け与信取引)をしたことになります。

サイゼリヤさんにしてみればそれを仲介しただけで、リスクはほとんどありません。むしろ先にキャッシュをもらうために金利分だけ得をすることになります。さらにおそらくアマゾンさんから手数料もいただくはずですから、損をすることはまずないと考えて良いと思います。ただし店員さんは手間が増えて大変になるでしょうね。

その意味で、冒頭に書いた「サイゼリヤさん逃げて」は「看板に偽りあり」ですね。

単に私がホラー映画的なオープニングを書いてみたかっただけです。すみません。



そしてアマゾンさんも、ほとんど損をしないでしょう。

そもそもアマゾンポイントは、アマゾンを使った買い物にしか基本使えません。

ポイントをすぐ使っても利鞘が2%減るだけで、十分儲けていることに変わりはないのです。

逆にポイントに変換してから時間が経てば経つほど、保持している現金の分だけ金利を稼ぐことができます。



またこのようなポイントは、そのまま忘れてしまう人がかなりいます。

いうなれば貸したカネの存在を忘れてしまうんですよね。

たとえば我々がほとんどタダでワインを呑みまくったとしても、約50人にひとりがポイント登録および行使を忘れてしまえばアマゾンさんとしてはチャラになります。

ポイントやプリペイド割引の源泉は、そのような「忘れやすい人」が払っているのです。



ただし抜け目のない投資家さんたちは、たった今稼いだアマゾンポイントをすぐアカウントに登録してしまうと思います(再入店して次のワインを待ちながら)。

彼らは余計な買い物をしたり、余計なポイントを貯め込んだりしません。

したがって投資家さんたちがこのキャンペーンを利用する実質的な限界は

「アマゾンでポイントを使い切るメドが立つ金額」

ということになると思います。

逆に言うとアマゾンでの買い物金額が増えそうなときは、毎食サイゼリヤさんで食事すればポイント失効のリスクを低くしてこの割引の恩恵を受けることができるわけです。



こんなことばかり考える私は、どこかおかしいのでしょうか?

いいえ、投資家としてはごく普通です。

それどころか「まだまだ温(ぬる)い」「修業が足りない」「いまさら世間の目を気にしているのか」と、凄腕の投資家さんたちから叱責されているぐらいです。

投資とはそのような人々の世界であることを、ぜひ知っておいてください。

(終)





*
サイゼリヤさんのお名前が、文中で何度もサイゼリ「ア」に変わっていました。お詫びの上訂正いたします。

**
タイトルの後ろに最初は(裁定取引)と付けていましたが、その後考え直して(与信取引・無担保貸し付け)に変更しました。これは簡単に言えば「何の保証もなく他人にカネを貸している状態」です。

以下の著作の中で説明してあります。

ビットコインはなぜヤバい: フィンテック時代のデジタル投資詐欺







[提案]イールドスプレッドは(株式益利回り - 国債利回り)で計算しよう


直前の記事と関連して、補足があります。

週刊エコノミスト2018年3月27日号 p34-35
リスクパリティ戦略 変動率高まり株式を売却
http://amzn.to/2GGaMpZ
において、次のような部分があります。

"この当時は、米国の金利上昇を無視した株価上昇が続いていた。米長期金利(米10年国債利回り)から株式益回りを引いた「イールドスプレッド」が上昇し、「株は国債に対して割高である」とのサインが出てもお構いなしだった。"

実はこの部分、最初の原稿では
「イールドスプレッドが低下し」
になっていました。

というのも私の記憶では

イールドスプレッド = 株式益利回り-長期国債利回り

となっており、

イールドスプレッド上昇 = 株は割安
イールドスプレッド低下 = 株は割高

と思っていたからです。
以前からレポートやセミナーで以下のようなイールドスプレッドのチャートをお見せしていましたので、ご存知の方も多いでしょう。


YS10Y





















しかしエコノミストさんの編集が入って、親切にもイールドスプレッドの説明が追加されていました。
それが「米長期金利(米10年国債利回り)から株式益回りを引いた」の部分です。

おや?と思ってネットで検索したところ、確かにそう書かれたものが検索上位に来ています。

野村証券さん
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/i/y-spread.html
大和投信さん
http://www.daiwa-am.co.jp/guide/term/a/iirudo_2.html
iFinanceさん
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/market/mar041.html


あれ?俺は30年近くも逆に覚えていたのか。
それとも知らぬ間に定義が変わってしまったのか。

釈然としませんでしたが、今回はその定義に従って

"「イールドスプレッド」が上昇 =「株は国債に対して割高である」とのサイン"

という形で辻褄を合わせました。この部分が気になった方は多いと思います。


しかし正直、今でも納得できないのですよ。

というのも私の中では

イールドスプレッド 

≒ 株式のリスクプレミアム

と解釈していたからです。

イールドスプレッドは今期の株主の取り分を利回り換算し、それが国債利回りをどれだけ上回るのかを示す「超過収益」のことだと考えていました。「(今期)株式投資をしたことによる、国債を上回る収益率」という意味です。それは長期的に、株式のリスクプレミアム(株式投資をしたことによる、国債を上回る収益率)と一致するはず。そう解釈していました。


「どっちでもいいじゃん。引き算が逆になっても、数字の意味を逆に解釈すればいいんでしょ?」

と、言いたくなるかもしれません。

しかしそうすると、既存の知識体系の中にすんなり収められなくなるのです。

リスク資産の評価には上記超過収益の概念が利用されており、これを使うことによって各種資産の比較が可能になります(国債・社債・株式・不動産など)。

その体系の中では

リスクプレミアム(超過収益率)上昇 = その資産は割安 ≒ 価格は下落 
リスクプレミアム(超過収益率)低下 = その資産は割高 ≒ 価格は上昇
という関係が成り立つのです。

それなのに「イールドスプレッドの場合はこれが逆になる」という例外を設けると、いちいち文章や数式やシステムや脳内イメージを切り替えなくてはなりません。少なくとも、そのまま同じ土俵に上げて比較することはできません。

「他資産と比較するときには符号を逆にして考えれば良い」と言うのなら、「では最初から他資産と比較できるような数式にしてください。そうでなければ存在価値ないでしょう」と言い返したくなります。



また一般的には国債利回りのほうが低いため、この定義だとイールドスプレッドはマイナスが常態化することになります。

その中で「上昇・低下」「拡大・縮小」という言葉を使うと、相手の方は「えーっとマイナスが減ったのだから『上昇』でいいのか」といちいち考えなくてはなりません。利回り(リスクプレミアム)と価格(割高・割安)の関係だけでも混乱しやすいのに、マイナスの領域に引きずり込まれることでさらなる混乱を招いてしまうのです。


そもそも「A-B」あるいは「A/B」という数式は、「Bを基準にするとAはどうなのか」という意味です。

クレジットスプレッドであれば「その社債の利回り-国債利回り」で計算します。

利回りが低く安定した国債を基準に、その社債の超過収益率はなんぼのもんだと計算しているわけです。不動産のイールドギャップも同じ。これらは直感的にわかりやすく、合理的だと思います。 

しかし株式イールドスプレッドだけを逆に「国債利回り-株式益利回り」としてしまうと、「株式益利回りを基準にすると国債利回りはどうなのか」という意味になってしまいます。

債券のクレジットスプレットと株式のイールドスプレッドを同じチャートに載せて、比べることもできません。それでは利回り換算した意味もないでしょう。


そんなわけで弊社は引き続き、

イールドスプレッド

=株式益利回り ー 国債利回り


とします。
(正確には(1+株式益利回り)/(1+国債利回り)-1)

逆の式だと

  1. マイナスが常態化するし、
  2. 「上昇・低下」「拡大・縮小」の表現で混乱するし、
  3. 他の投資対象との比較がしにくい(リスクプレミアム・超過収益率)

からです。

異端と言われようが、変人と言われようが構いません。

でも、みんなそうしたほうが合理的だと思いますよ。







債券のロールダウン効果


イールドカーブが右肩上がりのときに見られる、
時間の経過による金利低下効果のことです。

たとえば2010年12月16日時点の米国債イールドカーブはこのようになっています。

YCT20101216
10年金利は年3.48%の利回りで、それだけ見たら「たいしたことない」と思うかもしれません。

しかしよく見ると、すぐ上の9年金利(直線補間)は3.266%です。

ということは、このイールドカーブの形が変わらないと仮定するなら
10年債の金利は1年で0.22%程度低下するということです。

仮にいま利回り3.483%(クーポンも同じ)の10年債券が100円で発行され、
1年後に利回り3.266%の9年債になったとすると、価格は101.666に上昇します。

つまり今後1年は3.483%のクーポンに1.666%の値上がり益がプラスされる。
合わせて5.149%のリターンが期待できるということです。

これ「ロールダウン効果」とか「イールドカーブを(左側に)滑り落ちる」などと表現します。


このような現象は当然、イールドカーブが右肩上がりのときほど激しくなります。

下図は上の表の最終利回りと、ロールダウンを考慮した利回りをプロットしたものです。


YC20101216
利回りが飛んでいるところは直線補間しているのでロールダウン利回りが凸凹してしまってますが、7年・10年といったところが5%近いロールダウン利回りを示しリターン/リスクが有利に見えます。

おそらく投機筋がパニック的に売ったか、コンベクシティヘッジが出たのではないかと想像します。


このロールダウンを考慮した債券投資戦略は、短期金利の低位安定が続いた日本市場で長いこと有効でした。

逆に短期金利がこれから上昇するときには、「イールドカーブの形が変わらない」という前提が崩れてしまうので足元をすくわれることになります。




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