ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

2020年04月

欧州死亡率モニター(EUROMOMO)で見る超過死亡者数。ドイツは増加せず? じゃあ日本なんかマイナスでは


新型コロナウイルスによる真の死亡者数を、例年に対する超過死亡者数で考えるという記事が増えて来ました。

死者数であれば隠蔽が難しく、たとえ死因を別のものにしても誤魔化すことができません。また平時であれば助かったようなケガや病気でも、医療崩壊などの影響によって亡くなってしまった間接的な犠牲者もカウントすることができます。日本も今年ぐらいはそのようなデータを早く出してくれたら良いですねと、このブログでも何度か書きました。



下もそのような記事。メインテーマは「フランスの分断」で、貧困地区で死者が激増し暴動や警官襲撃が増えていると書いてあります。

その中に超過死者が295%増加、つまり死者が例年の4倍になった地区もあるとのことでした。

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貧困地区で死者激増、警官と衝突も 新型コロナが浮き彫りにするフランスの分断
2020.04.27 Mon posted at 18:06 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35153032.html
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(略)新型コロナウイルスがこうした地区に及ぼす過酷な影響は、死者の統計にも表れている。フランス国立統計局によると、ビルヌーブ・ラ・ガレンヌの隣のセーヌ・サンドニ地区では3月30日から4月5日にかけての死者が、例年のこの時期に比べて295%増加した。ビルヌーブ・ラ・ガレンヌがあるオードセーヌ地区の死者は255%増だった。

一方、同じ時期のパリの死者は174%増、フランス全体では61%増にとどまる。(略)
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下も欧州の超過死亡者数について考察し、第13-15週は「週に約2万人多かった」としています。

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欧州で「超過死亡」深刻 新型コロナが押し上げ
2020年04月28日07時10分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042700611
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 【ベルリン時事】欧州で、過去の統計などから予想される死者数に対して実際の死者数がそれを上回る現象である「超過死亡」が、新型コロナウイルス感染拡大が本格化した3月半ば以降に深刻化している。超過死亡は、疾病の社会的影響を単純な死者数より正確に測れる指標とされ、欧州の状況の深刻さが改めて浮き彫りとなっている。

英仏独やイタリア、スペインなど欧州主要国が参加するデータベース「欧州死亡率モニター(EUROMOMO)」によると、全死因の超過死亡の人数は、第13~15週(3月下旬~4月中旬)に、週1万8000~2万1000人で推移。直近の16週は約1万人だった。集計のタイムラグで、今後さらに増える可能性もあるという。インフルエンザが流行していた2018年のピーク時でも、週1万1000人超だった。

新型ウイルスの死者は、死亡リスクがもともと高い高齢者らが大部分のため、流行が全体的な死者数を例年より押し上げるかは不透明な部分があった。しかし、例年の高齢者の死者数を考慮に入れた基準値も上回る死者が出ていることで、新型コロナの影響の大きさが示された形だ。(略)
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この記事の中で、欧州死亡率モニター(EUROMOMO)なるものがあると書いてあるのが気になりました。検索して見ると、非常に有意義なデータを見つけることができたのです!

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EUROMOMO
Graphs and maps
Last updated on week 17, 2020
https://www.euromomo.eu/graphs-and-maps/#map-of-z-scores
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まず欧州全体の超過死亡者数を年齢ごとに見てみます。


EUROMOMO20200428_1

















(出所:EUROMOMO)



0-4歳、5-14歳は例年より増えておらず、むしろ少ないぐらいです。

0-14歳は新型コロナウイルスによる実質的な被害がほとんどない

ということです。

それに対して15-64歳では今年に入ってから急増し、1万人を超える週もありました。それが今は急速に下げてきています。

65歳以上はさらに顕著で、7万5千人の超過死亡者を出した週がありました。

ただしこれらの数字は後から修正されることもあるので、油断は禁物でしょう。



次に国別のデータを見てみます。





EUROMOMO20200428_2
















(出所:EUROMOMO)


縦軸がz-scoreとなっています。ここでは平均0、標準偏差1に調整したという意味のzスコアですかね。国によって人口には差があるため、「標準偏差の何倍か」を比較しているのかもしれません。単純に人口比でやれば良いような気がするのですが、データを取るのが大変であればまずはOKとしましょう。

するとフランスやイタリアの超過死者は、ようやくピークを超えた感じ。

しかし驚くことに、ドイツはほとんど例年と同じです。

後から修正が入るのでなければ、

昨日時点で新型コロナウイルスによる死者6126人のドイツも、今のところ超過死者は増えていない

ということになります。

もちろん新型コロナウイルスによって、患者や医療関係者が亡くなっていることは事実です。また経済活動が犠牲になっているため、今後は経済的困窮などから自殺が増える可能性もあります。この疫病によって多種多様な被害を受けている人々が何億人もいるという事実に変わりはありません。

しかし「現時点で」「超過死者という観点だけから」見るのであれば、例年ならば別の要因で死んでいた人が「今年はコロナによる死亡に原因が振り替わっただけの国もある」とも言えるのです。



ドイツがその状態だとすると、人口が1.5倍で死者385の日本はそれよりも少ない結果になるんじゃないですかね。

今年はインフル患者も少なかったようですし、みんな手洗いマスクを徹底して外出も控えました。

この期間の日本の超過死者数はマイナスになると予想します。



ついでに他の主要国も見てみます。


EUROMOMO20200428_3

















(出所:EUROMOMO)



オランダ・スペイン・スイスなどを見ても、超過死者が増えた後にまた減り始めています。

英国だけが増え続けていますが、ここから温度や絶対湿度がさらに上がるでしょうから「今シーズンは」何とか逃げ切りそうな予感がしています。


このようなサイトを教えてもらえると、データ厨としては嬉しいですね。

生データをいじくりまわして分析したくなります。

実は日本もデータ大国なのですが、なぜかExcelの表になっていることが多く使いにくくて仕方ありません。

是非ともデータベースとして提供していただけるよう、関係者の方にはお願い申し上げます。

(終)


中国新型肺炎(COVID19)国別対数グラフ 20200425時点 推定現有感染者 7日移動平均など





[国別データ] as of 2020/4/25











感染数 感染増 死者 死者増 死亡/感染 死亡/検査








2919557  90731 203166  6069 7.0% 1.0%
World
 960651  35419  54256  2065 5.6% 1.0%
USA
 148377   4913  20319   813 13.7% 3.2%
UK
 195351   2357  26384   415 13.5% 1.5%
Italy
 223759   3995  22902   378 10.2% 2.5%
Spain
  59196   6201   4045   375 6.8% 1.4%
Brazil
 161488   1660  22614   369 14.0% 4.9%
France
  45325   1032   6917   238 15.3% 3.7%
Belgium
  45354   1466   2465   163 5.4% 0.4%
Canada
  12872   1239   1221   152 9.5% 2.4%
Mexico
  37190    655   4409   120 11.9% 2.3%
Netherlands
 156513   1514   5877   117 3.8% 0.3%
Germany
 107773   2861   2706   106 2.5% 0.3%
Turkey
  89328   1134   5650    76 6.3% 1.4%
Iran
  74588   5966    681    66 0.9% 0.0%
Russia
  25331   3683    700    66 2.8% 0.3%
Peru
  18561    377   1063    49 5.7% 0.8%
Ireland
  26283   1836    825    45 3.1% 0.1%
India
  18177    610   2192    40 12.1% 2.3%
Sweden
  10635    218    601    34 5.7% 0.5%
Romania
   8607    396    720    31 8.4% 1.1%
Indonesia
  11273    381    524    30 4.6% 0.2%
Poland
  23392    595    880    26 3.8% 0.3%
Portugal
   7294    102    494    17 6.8% 0.6%
Philippines
  12723    783    269    16 2.1% 0.2%
Pakistan
  13231    519    360    15 2.7% 0.2%
Japan
   8445    235    418    15 4.9% 0.3%
Denmark
   4319    227    307    13 7.1% 0.3%
Egypt
   2443     60    262    12 10.7% 0.4%
Hungary
  28894    217   1599    10 5.5% 0.7%
Switzerland
   3304    194     94    10 2.8% 0.8%
Moldova




今回からグラフを7日移動平均にしました。

以前から曜日によるばらつきが気になっていましたが、相互相関などを見てもそれほど明確には見えませんでした。そして7日前からの増減を取ってもグラフが余計に凸凹するだけでした。しかし7日移動平均なら曜日効果が前後にズレても大丈夫ですよね。市場の世界に長く居ながら、そんなことも気付きませんでした。

下の記事を見て「なるほど」と思い、各国のグラフに応用させていただきました。
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新型コロナ、感染者の7日移動平均線にピークアウトの兆候
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65961758.html
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1日当たり死者数は欧州で減少傾向。特にスペインイタリアフランスなどが減ってきました。

特に増えているのはブラジル(黒破線)。政府がノーガード戦法を採っているからでしょう。

米国も増加傾向で、英国は横ばい。

グラフにはありませんが、スウェーデンも気になります。

COVID19ND_MA7_20200425
























新規感染者も各国で減少傾向です。

ここでもブラジル(黒破線)の増加が目立ちます。

やはり米国も増加傾向で、英国は横ばい。

日本もゆるやかながら、ピークを超えた感じです。


COVID19NC_MA7_20200425
























先行指標としての推定現有感染者数は、さらに顕著な傾向が見られます。

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推定現有感染者数=累積感染者数 - 累積死者数 - 累積治癒者数
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スイスイランは3-4週間前から急速に減っており、それが最近の死者数減少につながっていたのかもしれません。

これを信用するなら、次はドイツの死者が目立って減るはず。治癒者が急激に増えていることがその原因です。

フランスイタリアも急激に減っていますが、死者が減るのはドイツの後になるか。

スペインは減りかけたあと増えており、引き続き要警戒。

米国英国は、まだまだ厳しい状況が続きそうです。

COVID19RCL_MA7_20200425






















依然として重症者データは怪しいですが、これも7日移動平均で見てみます。

ブラジル(黒破線)のデータは怪しいと思っていましたが、今にして思えば死者急増を予見できたのかもしれません。

ドイツフランスは減少が続いており、今は現有感染者の減少によって重症者減少がスローダウンしている状態。

米国の重症者は増加ペースこそ鈍っているものの、まだ積み上がっている局面です。


COVID19SCC_MA7_20200425





















(終)



【週末だけのグローバル投資】中国新型コロナウィルスの衝撃 (22)感度・特異度が示されない抗体検査は有害ではないか?



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週末だけのグローバル投資  -生き残りの処方箋- 

第493号 中国新型コロナウィルスの衝撃 (22)感度・特異度が示されない抗体検査は有害ではないか?

週1回発行
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欧米諸国で抗体検査を行う動きが活発化しています。

たとえば米カリフォルニア州サンタクララ郡で試験的に行われた3300人は、2.8-4.2%程度に抗体反応があったとのこと。

「PCR検査などで陽性が判明した人の50-80倍、という驚くべき数字」ということです。

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カリフォルニアで抗体検査、予想より遥かに多い罹患率が判明
土方細秩子 (ジャーナリスト)
2020年4月19日
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/19372
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ロサンゼルス郡では4月16日、新たに55名が死亡し、累計の死亡者数は455名となった。感染者数は1日で350名となり、累計で1万854名。これまで郡が行った検査数は7万件以上で、およそ11%が陽性だったことになる。カリフォルニア州全体では感染者は731名増加で計2万8888名、死亡者は1021名だ。

ただし新規感染者数は横ばいあるいは減少の傾向が見られ、ニューサム知事とガルセッティ市長は外出禁止令の緩和と経済再開に向けての道筋を探り始めている。その中で重要とされているのが抗体検査の実施だ。(略)

世間にはこうした無症状で感染の自覚がないままに治癒し、免疫を得ている人々がいる。それを割り出すために始まった抗体検査だが、最初の試みで思わぬ結果が出た。ABCニュースの報道によると、カリフォルニア州サンタクララ郡で試験的に行われた抗体検査を受けた3300人のうち、抗体反応があったのが2.8~4.2%程度だった、というのだ。

サンタクララ郡の人口は200万人ほどで、郡内の感染者は公式には1000人程度、と発表されていた。しかし抗体検査の結果から、実際には4万8000~8万1000人程度がすでに感染していた、という予測が成り立つ。PCR検査などで陽性が判明した人の50~80倍、という驚くべき数字だ。(略)
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さらにNY州のクオモ知事は、計3000人の13.9%に抗体が確認されたと発表。

「州の住民約270万人がある時点で新型コロナに罹患(りかん)したと推計される」と述べています。

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NY州の13.9%に抗体確認、270万人に相当-3000人検査でクオモ知事
Angelica LaVito、Kristen V. Brown、Keshia Clukey
2020年4月24日 7:44 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-23/Q99AVWDWRGG001?srnd=cojp-v2
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    感染が最も深刻なNY市に限れば21.2%に抗体が確認された
    致死率は約0.5%-確認症例と死者数に基づく推計値を下回る

米ニューヨーク州のクオモ知事は23日、新型コロナウイルスの感染拡大の実態を把握するため実施している抗体検査で、州内40カ所で無作為抽出で調べた計3000人の13.9%に抗体が確認されたことを明らかにした。

クオモ知事はこの比率に基づけば、州の住民約270万人がある時点で新型コロナに罹患(りかん)したと推計されると述べた。これは、重い症状が出た患者を主な対象にした州の検査に基づく公式統計の約10倍に相当する。(略)
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なぜ抗体検査をするかと言えば、

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1. 集団免疫の進捗度を計測するため

2. 経済活動再開の時期を探るため
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です。

英国では抗体検査で免疫が確認された国民に「免疫証明書」を発行し外出を許可する計画を立てています。

逆に言えば、まだ抗体を獲得していない国民に対しては防御的な生活を続けてもらうということになります。

そして免疫獲得者が増えるにつれ、経済活動を正常化してゆくという算段です。

その試み自体は合理的で、やることに対して私は反対しません。

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新型コロナ 英国が経済正常化へ「免疫証明」検討 抗体検査に疑問も
2020.4.23 17:47
https://www.sankei.com/world/news/200423/wor2004230022-n1.html
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【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染が拡大する中、欧州諸国が免疫の有無を調べる抗体検査に相次いで乗り出している。英国は、経済活動を早期に再開させるため抗体検査で免疫が確認された国民に「免疫証明書」を発行し、外出を許可する計画を検討している。ただ、抗体検査に技術的な課題があり、検査が順調に進まないことが懸念されている。

英国のハンコック保健相は2日、免疫証明書の発行を検討していると発表した。証明書とともに、免疫を獲得していることが一目でわかるリストバンドを提供する構想も明かしたが、まだ実現していない。

英国ではすでに一部の新型コロナの患者を対象に抗体検査を行っており、ハンコック氏は記者会見で、
免疫証明書が発行できれば「免疫を得た人を可能な限り通常の生活に戻せる」と強調。自身も3月下旬に新型コロナに感染し、一時、自主隔離を余儀なくされた同氏は、英BBC放送の番組で「私には免疫が備わっており、再び感染する可能性は低い」と述べた。(略)
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しかしいつも思うのですが、このような検査の「感度や特異度」が明示されないのはどうしてでしょう。

今回は市中感染がどれぐらい広がったかを調査するわけですから、事前確率がわからないことは理解できます。

それでも有病率が低いのに検査を増やすと偽陽性が増えてしまいます。

逆に多い状況でやれば偽陰性が増えてしまいます。

特に確定診断の場合は、特異度が高い検査で陽性が出ないとあてになりません。

検査精度が低くなれば低くなるほど、現状認識を誤る可能性が高くなるのです。

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参考
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【週末だけのグローバル投資】
中国新型コロナウィルスの衝撃 (16)日本の戦略は悪くない。PCR検査と検査キット、検査精度と事前確率の話
2020年04月09日10:26
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268173.html
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今回だけではありません。

「とにかく抗体検査をしろ!」という人の中には、「PCR検査は正確ではないから」と理由を付ける人がいます。

確かにPCRの感度は7割程度と言われています。

しかし一般的に、抗体検査の精度はそれより低いと言われています。

抗体検査の感度や特異度を示すことなく「PCRはあてにならない」と腐すのはフェアではないと思うのです。

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特異度が低い抗体検査をもとに判断したら、数多くの偽陽性を出してしまうことになります。

「すでに抗体を獲得した」という間違ったお墨付きをもらった人々が、街を出歩くことになるのです。

それはいとも簡単に、クラスタ発生と医療崩壊を引き起こします。

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なぜ抗体検査をそれほど急ぐのか。

ひとつには経済活動再開を急ぐ人々の思惑があるでしょう。

偽陽性でも何でも「集団免疫を獲得した」という抗体検査の結果が出たら、それを強く主張することができます。

それでパンデミックになっても、その判断をした人の責任にすれば良いのです。

そのためには、検査の正確性や感度・特異度など余計なことは知ってほしくありません。

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さらに穿った見方をすると、検査キットを大量に売りたい人々もいるでしょう。

インドは5億個超の抗体検査キットを発注したものの、正確性に疑問を持ち一時中止。

「これが標準的な検査キットです」「国民に安心を与えます」とでも売りつけられたのでしょうか。

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インド、コロナ抗体検査の一時中止を指示、正確性に懸念
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-southasia-idJPKCN22505R?
2020年4月23日 / 10:57
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インドは、新型コロナウイルス感染拡大の状況把握のための抗体検査について、正確性に懸念があるとして、一時中止を指示した。保健当局者らが明らかにした。

インドは、検査キットと医療機器の不足から、新型コロナの感染状況を把握するため他の多くの諸国に追随して標準的な簡易抗体検査を導入。今月初めに保健当局が血液による抗体検査を承認した後、中国に5億個超の検査キットを発注した。

しかし、医学研究評議会・感染学部門トップのR.R. Gangakhedkar博士は、抗体検査の結果に矛盾が生じているため、保健当局に検査の一時中止を求めたと明らかにした。

同博士は「これはわずか3カ月半の間に開発された第1世代の検査であり、改良していく必要がある。(結果の)変動幅は無視できない」と述べた。

保健当局は、機器の精度確認のため、各州に当局の衛生専門家を派遣しているという。

スペインを含む欧州諸国からも、中国が供給したキットの品質について苦情が出ている。(略)
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「検査・検査・検査」と言っていたあのWHOでさえ「抗体検査は効果の面からも不確実な点が多い」としています。

「抗体検査より今は感染者発見を優先しろ」とのこと。

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新型コロナの抗体検査 「不明点多い」 WHO危機対応統括
2020年4月18日 10時27分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200418/k10012394171000.html
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欧米各国で外出制限措置の解除や経済活動の再開を判断する際の指標の1つとして議論されている新型コロナウイルスの抗体検査を巡り、WHO=世界保健機関の危機対応の責任者は検査の技術は十分に検証されておらず、抗体に関しても不明な点が多いという認識を示しました。

WHOで危機対応を統括するライアン氏は17日の記者会見で、新型コロナウイルスの抗体検査を巡り、「どのような検査をするかを明確にする必要があるが、効果の面からも不確実な点が多い」と述べて、検査の技術は十分に検証されていないという見方を示しました。(略)
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WHO「抗体検査より感染者の発見・治療を優先すべき」
2020年4月21日 4時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012397751000.html
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新型コロナウイルスの抗体検査について、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は記者会見で、現時点では、感染者の発見や治療などを優先させるべきだという考えを示しました。

人口のどれくらいが新型コロナウイルスに感染し、抗体ができているかを調べる抗体検査について、WHOのテドロス事務局長は20日、スイス・ジュネーブの定例記者会見で、「抗体検査は感染したことがある人を確認するためには重要だが、感染が疑われる人を発見して診断し、隔離と治療を行う検査のほうが中心的な手法だ」と述べ、現時点では、感染者の発見や治療、それに隔離などを優先させるべきだという考えを示しました。(略)
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日本の感染症学会は海外で市販されている検査キット4種の性能を評価。

サンプル数は少ないながら、「性能差が大きく、当該ウイルス感染症の診断に活用することは推奨できない」としています。

それとも「疫学調査等への活用法が示唆される」という部分は、集団免疫調査には使えると言ってくれているのでしょうか。

特異度はいずれも高そうですが、感度が0/5から4/5までバラついているところを見ると全く検出できない粗悪品も混ざっていそうです。

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抗新型コロナウイルス抗体の検出を原理とする検査キット4種の性能に関する予備的検討
日本感染症学会:2020年4月23日
http://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=150
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/news/gakkai/covid19_kensakit_0423.pdf
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【方法】血中の抗新型コロナウイルス抗体の検出を原理とする検査キットが海外で市販されている。今回は、既に海外で市販されている検査キット4種の性能評価のための予備的検討を10名の患者血漿/全血を用いて行った。なお、IgM および IgG の陽性結果は区別せず、少なくともいずれか一方が陽性となったものは陽性と判定した。今回用いた血漿/血液検体が採取された患者は、同時に鼻腔スワブも採取され、RT-PCR 検査も施?されており、両結果を比較・検討した。

【結果】表 1-4 に A 社、B 社、C 社および D 社の患者血漿/全血を用いた予備的検討の結果を示した。なお、RT-PCR の結果は、陽性および検出感度未満と判定されたのはそれぞれ5 名ずつであった。A 社、B 社、C 社、D 社のキットの感度は、RT-PCR の結果と比較して、それぞれ 2/5、0/5、3/5 および 4/5 であった。一方、いずれのキットの特異度も 5/5 であった。

【考察】新型コロナウイルスに対する特異抗体を検出することを原理とする診断キットの性能は、キット間の差が大きい可能性がある。血中の新型コロナウイルス抗体を検出するキットには、定められた評価法がない。今後、抗体価の測定が可能な enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)など、精緻な方法を併用して評価することが望まれる。現時点において、抗新型コロナウイルス抗体検出キットを当該ウイルス感染症の診断に活用することは推奨できず、疫学調査等への活用法が示唆されるものの、今後さらに詳細な検討が必要であると思われた。(略)
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さらにロシュCEOは他社の抗体検査キットを「失敗作」と酷評。

しかし他社製品を非難するときでも、お互いに感度や特異度を示してくれると助かるのですが。

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新型コロナ抗体検査薬、他社の既製品は失敗作-ロシュCEOが酷評
2020年4月23日 0:16 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-22/Q96XJNDWX2PT01
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    正確性の確保、極めて難しい-英国の検査アプローチも批判
    ロシュ、通期利益と売上高は1桁台前半の伸びへ-予想据え置き

ロシュ・ホールディングのセベリン・シュバン最高経営責任者(CEO)は、これまでに発表された他社の新型コロナウイルス抗体検査薬はひどい失敗作だとこき下ろした。

これまでの抗体検査薬は信頼性が低く、英国やスペイン、米国の一部は使い物にならないと断定した。シュバンCEOによると、このような検査薬は開発が容易な一方、正確性の確保が極めて難しいことが理由だという。(略)
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人々が不安や恐怖に陥っている時、それに乗じて利益を得ようとする人々がいます。

最近は医薬装備品を売る人々の中に、そのような人々が混ざってきたのでしょう。

幸いなことに日本ではそれに騙される人は少なく、他国よりも緩やかな感染拡大で済んでいます。

これからも科学的・理性的な判断を心がけ、何とか凌いでいきましょう。

(終)





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気になるチャート20200424 WTI原油先物5月限、一時「価格がマイナス40%」



今週はWTI原油先物5月限が一時価格がマイナス40%」まで下落。

タンクが一杯になって現引きできない買い手が一斉に投げたからと言われている。

もちろん供給に対して需要がないからで、エネルギー価格はさらに急落となった。




Nikkei20200421



















出所:日本経済新聞
NY原油先物、初の価格「マイナス」 5月物投げ売り殺到
2020/4/21 3:56 (2020/4/21 7:35更新)





LineChartCmdtyIDX1f1_20200424

































それに比べると株式市場は平穏。

死者が少し減り始めたところで、経済活動再開の話をしている。

もちろん北半球では気温と絶対湿度の上昇によってスローダウンが期待できないことはないが…。

LineChartMajorEq1f1_20200424




























信用市場も少し落ち着き、ドルクランチはおさまっているようだ。


LineChartMajorCcyUSD1f1_20200424






























新興国株・通貨は米株・米ドルに対して持ち直した。

しかしブラジルのコロナ死者が一日400人に達し、トルコやメキシコでも増加しているため引き続き厳しいと考える。

LineChartMajorEqvsSPX1f1_20200424





























米セクターは少しだけリバーサルの動き。

エネルギーは反発が弱く、金融の下げは気になる。

信用不安再燃を懸念しているのだろう。

LineChartSP10vsSPX1f1_20200424





























【週末だけのグローバル投資】中国新型コロナウィルスの衝撃 (21)欧州の超過死者数はコロナ死者数の1.3-2.3倍



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週末だけのグローバル投資  -生き残りの処方箋- 

第492号 中国新型コロナウィルスの衝撃 (21)欧州の超過死者数はコロナ死者数の1.3-2.3倍

週1回発行
                      ワイルドインベスターズ株式会社

                      関東財務局長(金商)第1173号
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ちょうど一週間前は、「広義のコロナ死者」の推計について書きました。

たとえば過去5年間の同期間における死亡者数を平均し、

それを上回る「超過死亡者数」を「広義のコロナ死者」とする方法です。

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2020年04月16日20:32
中国新型コロナウィルスの衝撃 (19)「広義の死者」は医療崩壊地域で死者数の2-3倍か? 超過死亡者数から推計
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51268328.html
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同時期のエコノミスト誌に詳しいデータがあったようなので、その傾向を分析してみましょう。

面白いので、ぜひ読んでみてください。

下の図ではそれぞれの地域において、点線を上回っている部分が「超過死亡者」。

その中でオレンジに色付けされた部分が「コロナ死者」です。

ほとんどの地域において死亡者数が例年を上回っており(=超過死亡者が増えており)、コロナ死者だけではそれを説明できない様子がうかがえます。

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Tracking covid-19 excess deaths across countries
Official covid-19 death tolls still under-count the true number of fatalities
APR 16TH 2020
https://tinyurl.com/ybt85yqd
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Economist20200416ExcessDeath






















(出所:エコノミスト誌20200416 Tracking covid-19 excess deaths across countries)
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**************************

では記事中にあるデータを加工して、

「超過死亡者数のコロナ死者に対する倍率」

を計算してみましょう。

すると

「欧州では超過死亡者数がコロナ死者の1.3-2.3倍」

というレンジになります。

ざっと見ると、平均は2倍に届かなさそうですね。



コロナ
死者
超過死者 倍率
地域
13,763 21,119 1.53
Spain
10,330 15,175 1.47
England and Wales
8,886 11,417 1.28
France
6,132 12,802 2.09
Lombardy
4,981 5,099 1.02
New York City
2,717 6,169 2.27
Netherlands
1,443 2,888 2.00
Belgium
994 2,511 2.53
Istanbul
555 780 1.41
Sweden
188 330 1.76
Austria
84 1,543 18.37
Jakarta


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**************************

例外のひとつは米国のNY市でほぼ1倍。

自宅や高齢者施設で亡くなった人も加えたからでしょうか。

ほぼ正確にとらえていることになります。

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逆の例外はインドネシアのジャカルタで18倍。

超過死者1,500人のうち、ほんの一部しかカウントされていないことになります。

死者が急増する直前だったり、検査体制が追い付かなかったりするとこの比率は上昇することが考えられます。

トルコのイスタンブールもその傾向はありますが、2.5倍とまだマシなほうです。

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このような方法で、各国の「広義のコロナ死者」は事後的にでも推計できるでしょう。

日本はデータが出てくるのが例年遅いですが、今年は特別に前倒しで集計してもらえると助かります。


(終)





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参考のためワイルドインベスターズ投資ブログをご覧ください。
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