ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

2016年01月

日銀マイナス金利を導入 (1)「指し過ぎ」は金融政策の限界を露呈する


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第250号 日銀マイナス金利を導入 (1)「指し過ぎ」は金融政策の限界を露呈する

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シリーズ「爆縮する中国経済」はいったん中断します。

先週からリスクオン局面に入り、タイムリーではなくなったからです。

またヤバい兆候が始まったら再開します。

この転換点を見逃した方は先週末の動画をご覧ください。

投資戦略動画(公開用)20160122 危機を「しばらく忘れる」局面

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驚きました。

日銀がマイナス金利を導入したことに、です。

日経平均は200ポイント下がり、1000ポイント上げ、1000ポイント超下げて安値を更新し、また1000ポイント超上げきました。

2016年1月29日は日本株で大勢の「死人」が出たことでしょう。

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乱高下したことには理由があります。

内容を読んでも、金融関係者ですらピンと来ないのです。

今回は日銀政策委員会内でも、5対4でようやく可決されています。

それほど微妙な政策なのだと、私も思います。


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今回のキモは、

「銀行が日銀に積む当座預金を3種類に分け、プラス金利・ゼロ金利・マイナス金利をそれぞれ適用する」

ということ。

下の記事を読むと理解が進むかもしれません。

「マイナス金利を適用するのは、ほんの一部」ということがポイントです。

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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! 
なんとも中途半端な日銀のマイナス金利政策
2016/01/29 (金) 13:54
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つまり現時点では、インサイダーでもない限りどんな効果があるのか全くわからんのです。

各銀行が何の努力もしなくても、マイナス金利が適用される資金はないかもしれません。

この場合はこれまで通りで、経済に与える影響はほとんどありません。

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逆に何十兆もの資金がマイナス金利にさらされるのであれば、短期国債金利はマイナスに張り付いたまま動かなくなるでしょう。

そして銀行はムリヤリ貸し出しを始めますから、短期的な経済効果は巨大です。

そのかわり後になって、不良債権が積み上がって金融危機が発生するリスクが高まります。

サブプライムショック時に中国は投融資を銀行に「強要」し、理財商品による巨額損失を生み出しました。

日本の場合はそれよりもずっとソフトになるでしょうが、同じ現象が起こる可能性はあります。

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この政策を理解した時、私は感心しました。

「へえ、なかなか工夫してるな」

これまでの政策と矛盾しない形で、期待させる政策を打ち出しています(かなり誤解も含んでいますが)。

その発想とオリジナリティは凄いと思います。

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しかし同時に、こうも思いました。

「単なる口先介入の方が面倒も少ないし、期待が長続きしたんじゃないの?」

今回の政策は様々な犠牲を払った割に、効果が薄いのではないかと危惧しています。

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1. 
黒田総裁は最近「マイナス金利政策を具体的に考えていることはない」と発言をしており、市場は本当に驚いた。
FRBとは真逆で「市場との対話」が全くなされていない。
これは将来のアナウンスメント効果を低下させるのではないか。

2. 
プロでもわかりにくい政策なので、ヘッドラインだけ見て誤解した人も多いだろう。
当局が混乱を作るのであれば、長期的に投資家は逃げてゆく。
「いきなり何をやるかわからない中央銀行」のイメージは本当に得なのか。

3.
原油や新興国が戻り歩調にあったのに、そもそもここでカードを切る必要があったのか
「マイナス金利も検討した」と言うだけで様子を見れば良かったのではないか

4.
今回は4人の委員が反対に回っている。前回は3人だった。
議論がなされていると言えば聞こえがはいいが、対立が先鋭化しているのではないか。

5.
FRB、ECB、日銀はバラバラに動いており、世界的な危機感を共有していないことは確かなようだ

6.
需要が足りないという根本的な問題に対して、金融政策の限界を露呈するだけの結果に終わりそう


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今回の政策によって、日本経済が良くなる可能性はほとんどありません。

経済指標は明らかに悪化しています。

ファナックのような超優良企業でさえ、見通しに陰りが出てきています。

金融政策は「時間稼ぎ」や「激変緩和」には使えますが、根本的な問題解決にはならないことが多いです。

世界的な需要不足という問題に対し、先進国がバラバラに金融政策で対応しているうちは出口も遠いと覚悟せざるをえません。

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将棋には「指し過ぎ」という言葉があります。

調子に乗って攻めすぎて、有利な形勢を失ってしまうことです。

「戦力の逐次投入はしない」と言いながら、微妙な政策を2か月連続で打ち出したことは指し過ぎではないのか。

私には、金融政策の限界を露呈する時期を早めただけのような気がします。




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気になるチャート20160129 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のサプライズ


日銀が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入に踏み切った。

つい最近まで黒田総裁は「マイナス金利については考えていない」と発言していたこと、FOMCが無風で通過した後であることなどから大きなサプライズとなった。

円は独歩安となり、日本株は乱高下の末に上昇した。



工夫をしたことは認めるが、当座預金を「プラス金利・ゼロ金利・マイナス金利」の3階層に分けるのは理解されにくい政策かもしれない。経済効果よりアナウンスメント効果のほうが大きいだろう。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160129a.pdf

果たして「マネタリーベース増加」や「国債買い入れ」などの目標と整合的にやって行けるのだろうか。5対4でギリギリ決定したことからも、異論が出たことが推察できる。

日本の緩和がもたらす結果は「日本のデフレ脱却」ではなく「米国株バブル」という考えは変わっていない。



これがなくとも、世界的にはすでに「リスクオンの円安」に入っていた。

LineChartMajorCcyUSD1f1_20160129





























株価の戻りは弱くても、底打ちの兆候が見られた。

LineChartMajorEq1f1_20160129 






























その根っこにあるのは「コモディティの短期底打ち」


LineChartCmdtyIDX1f1_20160129
 





























原油は先週、ある理由から「底打ちになるだろう」と会員さん向けに書いた通りになった。
LineChartCmdtyIDX1f2_20160129
 





























ここのところ新興国が米国より強く、「逆流」になりそうな気配。
LineChartMajorEqvsSPX1f1_20160129


 

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爆縮する中国経済 (2)人民元を切り下げても中国経済は回復しない



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第249号 爆縮する中国経済 (2)人民元を切り下げても中国経済は回復しない

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先進国であれば、通貨を安くすることによって経済は短期的に回復します。

自由貿易と変動為替のメカニズムが働いて、輸出が増えるからです。

また「通貨価値を下げ、資産価値を上げる」政策は政府・企業・富裕層を助けます。

その他様々な経路で経済を復活させることは、拙著

「超絶バブルの安全な投資術 バブル期に始める株式投資の勝ち方」

の中で詳しく説明しました。

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しかし新興国では、通貨を安くすれば経済が回復するわけではありません。

むしろ通貨と資産価値が同時に急落して大損し、資金流出を加速させます。

それがまた実体経済に大きな問題を引き起こします。

さらに通貨と資産価値が急落して、自力では回復できない「負のスパイラル」に嵌るのです。

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特に中国の場合、人類史上最大級のバブルを引き起こしました。

資産価値のダメージをやわらげるために、通貨価値を下げる政策は良いです。

しかし輸出もめでたく回復する、という状況ではありません。

ここでは代表的な理由だけ挙げまずが、どれひとつ取っても厳しいものばかりです。


1. 人件費や地代が先進国並みに高騰した

2. 技術力や特許で勝負できる産業構造に転換できておらず、「組み立て工場」にとどまっている

3. 独特の規制や商慣習が多く、自由貿易と通貨変動メカニズムが完全には機能しない

4. 米国との対立路線で政治リスクや地政学リスクが高くなった

5. 環境破壊により、そこで生活すること自体が厳しくなっている

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人民元切り下げによって輸入物価が上がり、中国国民は大いに苦しむことになるでしょう。

結局それは「政府・企業・富裕層を助け、民衆に負担を押し付ける政策」になってしまうのです。

日本で「異次元緩和+消費税引き上げ」が単なる国民イジメになってしまったのと同じ理由です。

ただ日本の場合、輸出企業の業績が急回復することによって国民にも少なからず「おこぼれ」がありました。

しかし中国は全く防御できないまま、インフレ圧力と国民の不満を受けなければならないのです。

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先進国になることから遠ざかる政策を繰り返している中国は、他の新興国と同じ罠に嵌ります。

超絶バブルで膨れ上がった経済が「爆縮」するとき、未曽有の「負のスパイラル」が起こるでしょう。

「人民元を安くしても中国経済が回復するシナリオが描けない」という事実は、資金流出が加速するに十分な理由です。




(続く)



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気になるチャート20160115 弱気相場も一部に売り疲れ


急落で幕を開けた2016年の株式相場だが、一部に売り疲れが見えてきた。

LineChartMajorEq1f1_20160115 





























平時であれば円に対してドル高・ユーロ高などと見ていれば十分だが、現在は「先進国通貨 vs 新興国通貨」という視点で見たほうがわかりやすいかもしれない。
LineChartMajorCcyUSD1f1_20160115


 


























ドルベース対SP500にすると、右肩下がりの「本流」が継続。

ただしちらほらと、下げ止まりを見せる国が出てきている。
LineChartMajorEqvsSPX1f1_20160115
 




























日本株の指数を見ると、小型株・新興株よりTOPIXが弱い。しかし日経はもっと弱い。

LineChartEqJPNidxvsTPX1f1_20160115



 


























コモディティも下げ止まりを期待させつつ、反発は鈍い。

新興国・資源国のファンダメンタルズは自力では改善しないと考える。
LineChartCmdtyIDX1f1_20160115

 
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