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週末だけのグローバル投資 -生き残りの処方箋-
第165号 新興国が先進国になれない理由(9)結社や宗教の自由がない
週1回発行
ワイルドインベスターズ株式会社
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「新興国は、なぜ先進国になれないか?」
理由の9つめは、結社や宗教の自由がないからです。
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国民が持つノウハウを蓄積し伝承してゆくためには、グループを作る必要があります。
それは会社だったり、クラブ活動だったり、宗教組織だったりします。
同じ目的を持った人々が集まると、言葉では表現できない「暗黙知」が急速に蓄えられます。
ひとりひとりの力が何千倍にも何万倍にもなります。
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先進国では誰でも自由に団体を結成し、それに加入したり脱退したりする権利があります。
これを「集会・結社の自由」と言います。
もちろん届け出や認可が必要な場合もあります。
国家転覆やテロなどを目的とした結社は認められず、解散させられることもあります。
しかしそれ以外、人々がどんな目的で集まるのも自由です。
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政府が預かり知らぬところで作られた無数の団体。それが先進国の知恵や伝統を支えています。
政治目的や営利目的で作られたものばかりでなく、純粋な楽しみで作られたものも無数にあります。
それであるがゆえに、人々は違った複数の顔を持つことができます。
普通のおっさんが武術の達人だったりします。
会社では優しいお姉さんが、別の場所では無敵のチャンピオンだったりします。
たとえ仕事が面白くなかったり、出世競争に敗れてしまっても、人々は別の居場所を見つけることができます。
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もしその団体が水に合わなくても、先進国の人々は別の場所に行くことができます。
人々が適度に自由に居場所を変えることでノウハウが広く伝わり、人間関係は豊かになります。
「儲けにつながらないスキル」を磨きながら、「支配と服従ではない人間関係」が生まれます。
こうして「多様で自主的な職業人」の予備軍が蓄積され続けます。
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ところが先進国以外の国では、「集会・結社の自由」がありません。
政府の影響下にない組織が育つことを恐れているのです。
独裁国家の支配者は情報の共有や拡散を恐れますが、それでもある程度の批判や不満は許します。
しかしリアルな反乱へとつながりうる結社や集会に対しては、より敏感に弾圧する傾向が強いです。
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そもそも独裁国家の人々は「支配と服従ではない人間関係」というものが理解できません。
初対面の人間を見るとその力を瀬踏みし、強ければ媚び、弱ければ脅します。
カネにならない労働や、権力に結び付かない人間関係は無駄と切り捨てます。
一見、とても効率的な人生の過ごし方に思えます。
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しかし一度失敗するとどこにも居場所がなく、喰われるだけの人生となります。
一見、団結しているように見えますがそれは外敵の脅威より国内の脅威のほうが大きいと感じているときだけ。
いったん敗勢になると我先に逃げ出したり仲間を売ったりします。
そして国全体としては、誰も知恵や伝統を受け継いでくれません。
表面上は強くまとまっているように見えても、内面に構造的な脆さを抱えているのです。
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そのような国にとって、最も恐ろしい結社は宗教団体です。
宗教が持つ団結力・献身性・陶酔性などは、現実とは違う世界を心の中に構築します。
別の価値観・別の権威・別の指揮系統を生み出します。
そして支配者にとって都合良く動いてくれなくなります。
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長い歴史の中で支配者たちは宗教と戦い、そして利用してきました。
そして今では、以下の3つの方法で宗教と折り合いをつけています。
1 特定の宗教を国の基盤として取り入れながら、信教の自由を認める(先進国)
2 ある特定の宗教以外は認めない(宗教国家)
3 宗教自体を認めず、政府の権威を最上位とする(共産国など)
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先進国では政府転覆やテロと絡まない限り、どんな宗教も認められています。
町や州が特定の宗教団体で占められていたり、宗教にゆかりのある名前が市町村につけられることもあります。
新興宗教が大きく育ち、強い影響力を持つこともあります。
しかし実はベースとなる宗教がそれぞれの国にあり、道徳や価値観といった側面から国をまとめています。
その上で信教の自由を認めることで、宗教と反政府活動が結び付かないようにしているのです。
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宗教国家では、基本的にひとつの宗教しか認められていません。
ただその形態は、ほぼ先進国に近いものから狂信的な宗教国家まで様々です。
先進国に近い国は近代国家として発展をする可能性を秘めています。
逆に宗教的な縛りが大きい国ほど教義に縛られ、豊かさとは逆の方向に進みます。
宗派対立、地域対立が大きく、それを利用されて他国の食い物にされることが多いです。
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また、共産国のように宗教を禁止している国もあります。
信仰や別の権威を認めることはなく、現実の政府だけが唯一無二の権威・権力であるというシステムです。
共産主義自体が宗教のようなものですから、「共産主義を信仰する宗教国家」と考えても良いでしょう。
これも共産主義の縛りが大きい国ほど貧しくなる傾向があります。
派閥対立、地域対立が大きく、それを利用されて他国の食い物にされることも同様です。
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これがわかっていると、ある国の盛衰が手に取るようにわかります。
たとえば中国大陸の国家はいつも、宗教反乱がきっかけで滅びています。
家族単位でしかまとまることがない中国人は、団結して敵と戦うことが苦手です。
「砂の民族」と言われています。
しかし宗教によって団結力や自己犠牲の精神が吹き込まれると、命懸けで戦うようになります。
すると今度は政府のほうが、砂のようにあっけなく崩壊してしまうのです。
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面白いことに、政府を崩壊させた宗教団体がそのまま新しい権力となることはありません。
次に起こるのは地方軍閥が離反し、中央に侵入することです。
自分が新しい支配者になって、利権を奪い取ろうとするのです。
これが長く続くと戦国時代や五胡十六国時代になりますし、いくつかに分かれると三国志になります。
千万単位の死者を出しながら、世界を戦乱に巻き込みます。
難民が周辺国に溢れ出します。
何十年にもわたる大混乱の末に、ようやく新しい統一王朝ができるのです。
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中国はすでに国内において、深刻な宗教問題をいくつも抱えています。
イスラム教のウイグル自治区(東トルキスタン)では、弾圧が激化しています。
周辺のイスラム教国や、中国にいる1千万人の回(ホイ)族(回教徒=イスラム教徒)は面白くないでしょう。
チベットでも宗教弾圧が続き、焼身自殺が相次いでいます。
中国国内のキリスト教徒は6千万人と言われ、非合法とされる地下教会が取り締まりの対象となっています。
国内で弾圧され、海外で反政府活動を展開する法輪功もあります。
共産主義という「一神教」からの弾圧に対し、反発を強める宗教結社は少なくないのです。
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中国で起こる暴動は、年間18万件にまで増えています。
それぞれ単発で終わっているうちはまだ何とかなるでしょう。
しかしそれらが宗教的なリーダーと結びついたとき、歴史が繰り返される姿を見ることになります。
(終)
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