ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

2014年06月

新興国が先進国になれない理由(9)結社や宗教の自由がない


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第165号 新興国が先進国になれない理由(9)結社や宗教の自由がない

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「新興国は、なぜ先進国になれないか?」

理由の9つめは、結社や宗教の自由がないからです。

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国民が持つノウハウを蓄積し伝承してゆくためには、グループを作る必要があります。

それは会社だったり、クラブ活動だったり、宗教組織だったりします。

同じ目的を持った人々が集まると、言葉では表現できない「暗黙知」が急速に蓄えられます。

ひとりひとりの力が何千倍にも何万倍にもなります。

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先進国では誰でも自由に団体を結成し、それに加入したり脱退したりする権利があります。

これを「集会・結社の自由」と言います。

もちろん届け出や認可が必要な場合もあります。

国家転覆やテロなどを目的とした結社は認められず、解散させられることもあります。

しかしそれ以外、人々がどんな目的で集まるのも自由です。

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政府が預かり知らぬところで作られた無数の団体。それが先進国の知恵や伝統を支えています。

政治目的や営利目的で作られたものばかりでなく、純粋な楽しみで作られたものも無数にあります。

それであるがゆえに、人々は違った複数の顔を持つことができます。

普通のおっさんが武術の達人だったりします。

会社では優しいお姉さんが、別の場所では無敵のチャンピオンだったりします。

たとえ仕事が面白くなかったり、出世競争に敗れてしまっても、人々は別の居場所を見つけることができます。

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もしその団体が水に合わなくても、先進国の人々は別の場所に行くことができます。

人々が適度に自由に居場所を変えることでノウハウが広く伝わり、人間関係は豊かになります。

「儲けにつながらないスキル」を磨きながら、「支配と服従ではない人間関係」が生まれます。

こうして「多様で自主的な職業人」の予備軍が蓄積され続けます。

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ところが先進国以外の国では、「集会・結社の自由」がありません。

政府の影響下にない組織が育つことを恐れているのです。

独裁国家の支配者は情報の共有や拡散を恐れますが、それでもある程度の批判や不満は許します。

しかしリアルな反乱へとつながりうる結社や集会に対しては、より敏感に弾圧する傾向が強いです。

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そもそも独裁国家の人々は「支配と服従ではない人間関係」というものが理解できません。

初対面の人間を見るとその力を瀬踏みし、強ければ媚び、弱ければ脅します。

カネにならない労働や、権力に結び付かない人間関係は無駄と切り捨てます。

一見、とても効率的な人生の過ごし方に思えます。

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しかし一度失敗するとどこにも居場所がなく、喰われるだけの人生となります。

一見、団結しているように見えますがそれは外敵の脅威より国内の脅威のほうが大きいと感じているときだけ。

いったん敗勢になると我先に逃げ出したり仲間を売ったりします。

そして国全体としては、誰も知恵や伝統を受け継いでくれません。

表面上は強くまとまっているように見えても、内面に構造的な脆さを抱えているのです。

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そのような国にとって、最も恐ろしい結社は宗教団体です。

宗教が持つ団結力・献身性・陶酔性などは、現実とは違う世界を心の中に構築します。

別の価値観・別の権威・別の指揮系統を生み出します。

そして支配者にとって都合良く動いてくれなくなります。

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長い歴史の中で支配者たちは宗教と戦い、そして利用してきました。

そして今では、以下の3つの方法で宗教と折り合いをつけています。


1 特定の宗教を国の基盤として取り入れながら、信教の自由を認める(先進国)

2 ある特定の宗教以外は認めない(宗教国家)

3 宗教自体を認めず、政府の権威を最上位とする(共産国など)

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先進国では政府転覆やテロと絡まない限り、どんな宗教も認められています。

町や州が特定の宗教団体で占められていたり、宗教にゆかりのある名前が市町村につけられることもあります。

新興宗教が大きく育ち、強い影響力を持つこともあります。

しかし実はベースとなる宗教がそれぞれの国にあり、道徳や価値観といった側面から国をまとめています。

その上で信教の自由を認めることで、宗教と反政府活動が結び付かないようにしているのです。

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宗教国家では、基本的にひとつの宗教しか認められていません。

ただその形態は、ほぼ先進国に近いものから狂信的な宗教国家まで様々です。

先進国に近い国は近代国家として発展をする可能性を秘めています。

逆に宗教的な縛りが大きい国ほど教義に縛られ、豊かさとは逆の方向に進みます。

宗派対立、地域対立が大きく、それを利用されて他国の食い物にされることが多いです。

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また、共産国のように宗教を禁止している国もあります。

信仰や別の権威を認めることはなく、現実の政府だけが唯一無二の権威・権力であるというシステムです。

共産主義自体が宗教のようなものですから、「共産主義を信仰する宗教国家」と考えても良いでしょう。

これも共産主義の縛りが大きい国ほど貧しくなる傾向があります。

派閥対立、地域対立が大きく、それを利用されて他国の食い物にされることも同様です。

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これがわかっていると、ある国の盛衰が手に取るようにわかります。

たとえば中国大陸の国家はいつも、宗教反乱がきっかけで滅びています。

家族単位でしかまとまることがない中国人は、団結して敵と戦うことが苦手です。

「砂の民族」と言われています。

しかし宗教によって団結力や自己犠牲の精神が吹き込まれると、命懸けで戦うようになります。

すると今度は政府のほうが、砂のようにあっけなく崩壊してしまうのです。

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面白いことに、政府を崩壊させた宗教団体がそのまま新しい権力となることはありません。

次に起こるのは地方軍閥が離反し、中央に侵入することです。

自分が新しい支配者になって、利権を奪い取ろうとするのです。

これが長く続くと戦国時代や五胡十六国時代になりますし、いくつかに分かれると三国志になります。

千万単位の死者を出しながら、世界を戦乱に巻き込みます。

難民が周辺国に溢れ出します。

何十年にもわたる大混乱の末に、ようやく新しい統一王朝ができるのです。

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中国はすでに国内において、深刻な宗教問題をいくつも抱えています。

イスラム教のウイグル自治区(東トルキスタン)では、弾圧が激化しています。

周辺のイスラム教国や、中国にいる1千万人の回(ホイ)族(回教徒=イスラム教徒)は面白くないでしょう。

チベットでも宗教弾圧が続き、焼身自殺が相次いでいます。

中国国内のキリスト教徒は6千万人と言われ、非合法とされる地下教会が取り締まりの対象となっています。

国内で弾圧され、海外で反政府活動を展開する法輪功もあります。

共産主義という「一神教」からの弾圧に対し、反発を強める宗教結社は少なくないのです。

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中国で起こる暴動は、年間18万件にまで増えています。

それぞれ単発で終わっているうちはまだ何とかなるでしょう。

しかしそれらが宗教的なリーダーと結びついたとき、歴史が繰り返される姿を見ることになります。



(終)


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気になるチャート 20140627


 株の上昇が鈍ってきた。
ここから価格調整に入るのか、時間調整で済むのか。

LineChartMajorEq1f1_20140627



























基本は米株主導だが、中にはそれより元気の良い地域もある。
LineChartMajorEqvsSPX1f1_20140627

 


























通貨はドル安。
米国の引き締めが視野に入りつつあるのに不思議なことだ。

LineChartMajorCcyUSD1f1_20140627



























米長期金利も上がるどころか下がっている。これまた不思議だ。

LineChartGovBond1f1_20140627




























日本ではマザーズなど新興市場が下がるようになってきた。
その割に大型株は下げていないが、今後どうなるか。

LineChartEqJPNidx1f1_20140627





新興国が先進国になれない理由(8)情報や知識を共有できない


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第164号 新興国が先進国になれない理由(8)情報や知識を共有できない

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「新興国は、なぜ先進国になれないか?」

理由の8つめは、情報や知識を共有できないからです。

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多くの新興国では、命をかけた「椅子取りゲーム」をしています。

どんなに賢くても、人望があっても、「特権階級の椅子」から弾き出されたら終わり。

一族郎党ともに弾圧され、場合によっては皆殺しです。

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そんな社会では、他人と情報や知識を共有してはいけません。

そんなことをすれば他人が優位に立ち、自分の地位が危うくなります。

情報・知識・資源は自分たち一族だけで囲い込み、他人にアクセスさせてはいけません。

だから自然に縁故主義(ネポティズム)や強烈なコネ社会になるのです。

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また新興国にとって、知識層は危険な存在です。

彼らは知識を民衆に与え、団結する拠りどころを与えます。

自国の問題点を指摘し、支配者の権威を傷つけます。

情報や知識を蓄積し、拡散する人々は常に監視し、ときには処罰しなくてはなりません。

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だから新興国では、しばしば自国民の虐殺が起こります。

ひどいときには知識人や金持ちというだけで殺してしまいます。

「反革命分子」「民主運動家」「走資派」「共産主義者」

レッテルは何でも良いのです。

裏には民衆を扇動して権力奪取を狙うライバルがいますから、気を抜いてはいけません。

権力を奪われたら自分の一族が皆殺しにされますから、先にやるしかないのです。

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そんな社会では、頭が良いとか知識を持っていると思われただけで命が危なくなります。

問題を解決しようとしてはいけません。

情報や知識を広めてはいけません。

政府の主張をそのまま繰り返し、政府が決めた「悪者」を叩くだけ。

また何の疑問もなくそれができる人々が出世します。

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そういった国では、インターネットなどの情報技術を政府が制限します。

情報が拡散し、民衆が団結するのが怖いのです。

昔のソ連は、電話やFAXまで制限して言論統制していました。

しかしその結果、産業の高度化に遅れて経済が破綻しました。

情報統制はイノベーションを阻害するため、当然の帰結です。

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これが続くと国全体が「愚民化」して行きます。

支配者が情報や知識を恐れているので、国民がそれを尊重しなくなります。

上が暴力を使って問題を解決しようとするので、下も同じ方法をマネします。

主張は嘘と矛盾だらけ。交渉は単なる恫喝。

話し合いは「問題解決」に向かうのではなく、「権力争い」や「利権横取り」に終始します。

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世代が進むと、情報や知識を持っていたはずの支配層も「愚民化」します。

自分で作ったシステムに自分が洗脳され、自分がついた嘘を自分が信じ込むようになります。

誰も立て直してくれる人はいません。

そんな人はすでに殺されたか、先進国に逃げてしまったからです。

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そんな国は通常、力を持つことはありません。

しかしたまたま経済力や軍事力が大きくなってしまうと、やっかいなことになります。

国際法を無視して、他国の領土や財産を奪い取るようになります。

先進国が持つ利権を脅かすようになります。

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話し合いでやめさせようとしても無駄です。

主張は嘘と矛盾だらけ。交渉は単なる恫喝。

話し合いは「問題解決」に向かうのではなく、「権力争い」や「利権横取り」に終始します。

暴力による統治を、周辺国に対してもやろうとします。

周辺国のほとんどを敵に回し、最後は勝ち目のない戦争を始めてしまうのです。

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日本は今、大きく育った独裁国家の脅威に直面しています。

かつての日本もそれに似たところがあったかもしれません。

しかしものごとを両方の立場から見ることで、全体のメカニズムが見えてきます。

その上で情報を共有し、対策をみんなで話し合うことができます。

経験と知識を蓄積しながら試行錯誤を繰り返し、修正して行けるのが先進国の強みです。




(終)


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