ワイルドインベスターズ投資ブログ

     ~ グローバル投資への扉 ~   関東財務局長(金商)第1173号

2011年11月

共同責任は無責任 理不尽なユーロ共同債


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週末だけのグローバル投資  -生き残りの処方箋- 

第49号 共同責任は無責任 理不尽なユーロ共同債

週1回発行
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ドイツのメルケル首相がユーロ共同債に強硬に反対しています。

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それによってユーロ諸国の国債金利が上昇し、
株価が下がるなど失望感が広がっています。

これをもってドイツには協調性がないと非難する人もいます。

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しかしドイツにしてみれば当然のことでしょう。

なぜなら共同責任は無責任であり、ユーロ共同債は

「みんなで借りて、みんなで使い、ドイツが払う」

結果にしかならないからです。

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仮に今、ドイツが10年間の資金を借りようとすれば年2.2%の金利で借りられます。

同じ期間、同じ通貨でもギリシャが借りるのであれば
年26%の金利を払わなければなりません。

この差が信用の差であり、国家運営の結果です。

ギリシャのような状態にならないために、どの国も知恵を絞って予算を使うのです。

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しかしこれがユーロ共同債による調達となれば、

ドイツもギリシャも同じ金利(たとえば4%)で借り入れることになります。

ドイツは余分な金利を払い、他の国は金利を節約できます。

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そして「返済は共同で」となれば、人より多く使ったほうが勝ちです。

政治家はユーロ共同債で調達した資金を自国でばらまいて、
自分の基盤を固めるために使うでしょう。

財政削減をする理由はなくなり、
各国とも政府債務がますます拡大することになります。

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「各国が共同責任で返済する」ことが謳われても、
実際にはドイツしか払う能力がありません。

ユーロ共同債は最初から最後までドイツに負担を押し付ける枠組みでしかないのです。

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ですから各国は「国際協調」「ユーロ圏の維持」などをお題目として
ドイツが断れないように圧力をかけてくるでしょう。

もし恐慌になったらドイツのせいだと世論工作するはずです。

一方ドイツはユーロ圏に留まるメリットと、他国を長期間
支援しなければならないデメリットを勘案して妥協点を探ります。

ドイツにとって理不尽な仕組みとは思いますが、成立する可能性はゼロではありません。

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仮にユーロ共同債が発行されるとなれば短期的に市場は好感するでしょう。

しかし各国の政府債務はガンガン膨らみ、
欧州ソブリン問題はより大きくなっていずれ再燃します。

仮にドイツが強硬に反対して成立しなかったとしたら、
すぐに危機がやってきます。

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タイミングと規模の問題だけで、いずれ破局が来ることは避けられないのです。



(終)







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気になるチャート20111125

ポルトガルやハンガリーが投機的格付けに落とされた。

予想できたこととはいえ、円高と株安で典型的な「リスクオフ」の動きが続いている。



MajorEq2f3_20111125




インドルピー、南アフリカランドなどは直近安値を更新している。


MajorCcy1f1_20111125



欧州共同債発行の話で、ドイツの信用にまで疑問が投げかけられている。

ドイツDAX指数も下げが大きくなっており、ユーロ圏の対DAX相対株価も一方的に下がる展開ではなくなってきた。

EqEU1f2_20111125




日本株は相対的に堅調だが、鉄鋼海運はズブズブに売られている。


TPX7sctrs1f2_20111125




東証REIT指数が下げ止まらない。

6.44%の配当利回りも歯止めにならないのか。


tseREIT




値持ちしていたコモディティもいよいよ循環的な下げに入ってきそうだ。


Cmdty1f1_20111125






「どうしてもそうなっちゃう」時は


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第48号 「どうしてもそうなっちゃう」時は

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予想通りイタリアに続いてスペインも問題視されるようになりました。

両国とも2年国債利回りが危険水域と呼ばれる7%を一時的に超え、
欧州ソブリンがまだまだ根深い問題であることを示しています。

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しかし実際のところ、実体経済への影響はまだ現れておりません。

企業収益も受注も落ちておらず、
PERやPBRで見た株価は「超割安」に見えます。

いわゆるミクロの視点から経済を見ている人は、
どうしてこれほどまでに株が売られるのか不思議に感じることと思います。

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しかしマクロの視点から見ると、株などのリスク資産を持つのは怖いと感じるはずです。

なぜならば今後は

緊縮財政
  ↓
景気悪化(企業収益悪化)
  ↓
税収減
  ↓
ソブリン危機
  ↓
追加支援を得るための緊縮財政


といったサイクルに嵌る可能性が高いからです。

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日本でも不良債権問題がくすぶる中、財政再建と消費税引き上げに踏み切ったことがあります。
97-98年のことです。

その結果は拓銀・長銀・日債銀など大型金融機関の破綻。
そして海外へと飛び火してロシア危機・アジア危機などでした。

国や銀行のバランスシートを立て直そうとする動きが信用収縮を招き、
脆弱な金融機関や新興国を「殺して」しまったのです。

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今回はもっと深刻です。

というのも当時の日本はまだ国内で資金を借りることができたので、
すかさず財政拡大(という名前のバラマキ)を行って取り繕いました。

それはかなり深い傷を負った後でしたが、
国内の貯蓄が充分な日本だからこそできたことです。

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いま問題になっている欧州諸国は、基本的に自国で資金調達できません。

他国の政府や銀行から借り入れをするためには
「返済する意思と能力」を示す必要があります。

ということは政府の支出を削減したり、
税率を上げたりしなければならないのです。

つまり貸し手からの圧力によって財政削減と増税を迫られると言うことです。

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これは大変にマズイことです。

真っ先に失業や倒産が増えるギリシャなどの言い分はまず聞いてもらえません。
「これまで無駄遣いしてきた罰だ」と一蹴されて終わりです。

イタリアやギリシャまで失業や倒産が増えると、ドイツ企業の収益も落ちてきます。
しかしそれでも「不況で淘汰が進むのは健全なこと」と言われるでしょう。

カネを貸す側にしてみれば、借りる側が苦しむのは当然です。
その苦しみは貸し手にとって他人事なのです。

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しかし民間の収益力が弱いときに公的支出を減らせば、
経済を回すエンジンが止まってしまいます。

カネが止まり、所得が減り、失業が増えます。
それがまた景気を冷え込ませます。

資産は投売りされ、価格が下がって、担保価値がなくなります。
銀行や民間企業の資産が悪化します。

資金の貸し手は基準を厳しくして、資金を回収します。
その結果また倒産が増えます。

絵に描いたような信用収縮です。

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そこまで悪化してはじめて、緊縮財政や増税に対してストップがかかります。

なぜなら金融機関が連鎖的に倒れると、
磐石に見えるドイツであっても他人事ではいられないからです。

逆に言うと
「カネを貸す側の国民まで危うくなるぐらい悪化しないと、救済スキームは合意に達しない」
と考えて良いでしょう。

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日本の経験に照らしてみると、
グローバル経済は危うい淵をさまよっています。

今の状況は当時の日本よりも、
2008年のリーマンショック時よりも深刻で複雑と言えるでしょう。

これに対して資産を守る方法はあります。

あとはどうやって家族の安全を守るかです。



(終)




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気になるチャート20111119

思った以上に早いタイミングでイタリアやスペインの政府債務が問題視されるようになった。

PIIGSの2年国債金利は上昇傾向だが、まだ「佳境」というわけではない。


EUR2YrGovSprd1f1_20111119



対ドイツDAXの株価を見ていると、やはり問題を抱えている国ほど弱い。

しかしイタリアアイルランドは意外と健闘している。


EqEU1f2_20111119




ひと足先に「リスクオフ」に入った通貨市場が、さらにドル高傾向を強めてきた。

MajorCcy1f2_20111119



特にインドルピーの弱さが気になる。


MAcrossFX1f151_20111119



持ちこたえていたコモディティも、農産物産業用金属が弱くなってきた。

Cmdty1f1_20111119

終わらないホラー映画のように


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第47号 終わらないホラー映画のように

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ギリシャ問題が片付いたのもつかの間、
今度はイタリアの累積債務が問題視されるようになりました。

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イタリア国債金利は急上昇し、
たとえば2年国債だとドイツの0.4%に対し一時7%にまで達しました。

これはアイルランドに迫るほどの水準で、
それと同じほどのリスクを投資家がイタリアに感じているということです。

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確かにイタリアは経済規模も負債総額も
ユーロ圏の中ではトップレベルです。

しかしイタリアは産業基盤もブランドもある国です。

不動産市場が崩壊しているわけでもありませんから
時間稼ぎさえできるのであれば致命傷にはならないと考えます。

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それよりもまずいのは、スペインです。

スペインはイタリアほど強い産業基盤やブランドを持っていません。

そして今なお住宅価格が下がり続けており、
不良債権が減っていないであろうと考えられるのです。

これは時間稼ぎだけでは解決しないことを示しています。

最終的にはおそらく、貸し手であるドイツなどの金融機関が
損失を被ることになるでしょう。

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また、中国の不動産価格が急落しているというニュースも増えてきています。

中国も強い産業基盤やブランドがありません。

人件費や地代の高騰で生産拠点としての魅力は薄れており、
時間を稼げば収入が追いついてくる状態ではなさそうです。

つまりイタリアの他にも、スペインや中国といった大きな問題が控えているのです。

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イタリアで緊縮策が可決され、市場は落ち着きを取り戻しつつあります。

しかし根底にくすぶる不良債権問題が消えたわけではありません。

また各国の緊縮財政は景気の悪化を招く可能性が高いです。

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ソブリン危機
  ↓
追加支援
  ↓
緊縮財政
  ↓
景気悪化
  ↓
税収減
  ↓
ソブリン危機


このスパイラルは日本が10年以上苦しんできた悪循環です。
対策としては通貨価値を落とすぐらいしかありません。

日本は通貨安政策をやらないので、
いまなお財政赤字が増え続けているのです。

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「日本の轍は踏まない」と言い続けていた各国も、
今のところどっぷり同じコースに嵌っています。

終わらないホラー映画のように、
来年も繰り返し危機が訪れることしょう。



(終)

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